令和五年度熊本大学文書館企画展「熊本総合大学期成会資料展」

 熊大文書館の企画展。熊本大学設置のための各種運動に関する文書を展示。簿冊の類いが多いので、表面から見られるのはごく一部だけれども。
 戦後、新学制への制度改変が行われる中、熊本に、既存の官設学校を母体に新制総合大学を設立しようという動きが出て、「熊本総合大学期成会」が設立される。大学そのものは一県一校の方針で問題ないが、文部省に予算がなく、熊本県も自力ではまかないきれない。県内外から寄付を集めて、設備を購入寄付し、大学の体裁がやっと整った。
 全体は展示ケースごとに四部構成。
 最初は期成会の設立や大学設立の運動について。陳情書の類いや期成会の会則、役員名簿など。役員の構成が行政や経済界メインで、五高などの構成学校の関係者が含まれていなかったというのも興味深いところ。
 2番目は、募金活動について。行政が、税金などの実績をもとに、寄付目標額を設定って、ほとんど税金みたいなものだなあ。「海外関係種類綴」や「海外通信往復綴」って何かと思えば、熊本出身移民からも募金を募ったための書類らしい。あとは、南九州一円レベルの学校を構想していたけど、一県に一校の方針になったのでトーンダウンしたとか。
 3番目のケースは、集められた募金がどう使われたかについての書類。医学部の機器類とか、法文学部に寄贈された書籍のリストとか。こういうの子細に見れば、当時の大学がどの程度の設備を必要としたのか目安になりそう。
 最後は、大学の発足後のもの。開学記念式典関連の書類とか、案内パンフなど。


 こういうの、他の大学と比較しないと、どういう特色があるのかとか分からないなあ。