早田結『どクズな家族と別れる方法2』

 本編でノエルとシリウスが結ばれての後日譚。10話中、3話が描き下ろし。


 一話目が印象深いなあ。幼い神獣と、しょぼい言われまくるギフト。一応、シリウス疲労を思いやっての贈り物なんだけど。


 二話目も書き下ろし。超絶美味というか、幸せな記憶を思い出させてくれるバルダミオの椰子の実を使ったクリームを結婚記念日に用意する話。しかし、無茶苦茶硬くて、魔道具で五日かけて掘削。なかなか厳しい珍味だな…


 三話目以降は、ウェブにも掲載されたもの。
 「祝賀パーティの陰謀」は、ノエルたちの子供が7歳のお話。ルシアン、そういえば箱入り息子だよなあ。従兄弟たちと引き合わされた剣術試合の祝賀パーティ。しかし、子供たちが集められた部屋には、隣国の陰謀で怪物が置かれていて、子供たちで撃退するお話。次世代の王族三人、それぞれに特別な魔法属性を持っているのだな。


 「闘いは突然に! 開拓村の秘密」「開拓村の秘密、森の狩人の物語」は、時間が遡ってノエルとシリウスの結婚直後。前代の国王の治世の負の遺産のお話。
 ノエルは新しい魔道具の開発のために魔術の練習を兼ねて魔獣退治をしたいと言い出す。開拓村のガサ入れのついでに行くことになって。開拓村は魔の森の増殖を防ぐために狩りや火入れの義務があるあるが、援助金だけをもらって義務をサボっていた。それを制圧に行ったら、ドラゴンを呼び寄せる魔道具を使われてしまって。
 シリウスの独占欲というか、心配性っぷりが。明らかに、シリウスのほうが執着が強い感じだよなあ。


 「騎士と婚活とお節介な人々『退治したのは誰?』」は、三話目の少し前かな。妊娠して暇なノエルと王弟妃アマリエが、サリエルの元護衛ジェスとヴィオネ家のご近所さんの娘ララの仲人をするお話。お妃二人の暴走ぶり。あと、メルロー伯爵家の先代の死をめぐる陰謀劇。


 「ゼラフィの記録。ある罪びとの物語」は、ノエルの姉、令嬢を殺害して終身刑になったゼラフィのその後の話。ここいらから、ゼラフィの存在感が大きくなった感じか。
 鉱山に投獄されたゼラフィ。しかし、しぶとく生きていた。牢名主を倒して、なにやら楽しげに生きていた。炎の魔術を封じされて、人格が安定を取り戻した。ヴィオネ家の教育の失敗。こっちもまともに育ってたら、騎士団の姫になってたんじゃ。
 最終的に、発破の事故を察知して、救助に出たところで事故死。で、死後恩赦。あと、遺品をめぐって、いじけるサリエル氏w
 「ある訪問者」は、ゼラフィの「恋人」が鉱山の仕事を辞めて、ヴィオネ家を訪れたお話。執事のハイネと友達になったり、教育を巡ってサリエルと微妙な関係になったり。


 最後の「奇妙な掟」は、視界が悪いところで使う魔道具の開発のため、雨が降りやすい村に行ったお話。書き下ろし。
 空飛ぶカマイタチ魚と巨大蛇の闘争。そして、由来は忘れられていたけど、魚を捕りすぎないようにする掟。