ぽよ子『公爵令嬢は我が道を場当たり的に行く 1』

 異世界に転生した、元シミュレーションゲーマーな侯爵令嬢が、王太子妃として愛をはぐくみながら、マイペースに成長するお話。
 一応、乙女ゲームの世界なのだけど、実はエリザベスの周りの人物をモデルに、地球に「異世界転生」した人物が乙女ゲームを企画した。二次創作的な世界。元の世界が地球からすると夢幻の世界で、ゲーム向けに登場人物の脳みそをお花畑にしたから、ゲームタイトルは「夢幻のフラワーガーデン」というw


 エリザベスさん、最初からおもしれー女枠なんだよね。
 王太子殿下の令嬢に対する固定観念を壊しまくったエリザベス。振り回されるうちに溺愛モードになっていく王子様。一方、エリザベスはマイペースに生きる。花にも、ファッションにも、物語にも興味が無くて、立派な鈍器と言われる歴史書を読みこなす幼女。しかも、護衛の配置をみて感心しているという。どんくさいところもポイント高いなあ。
 「ドリボン様」に、「縦ロール様」と、エリザベスがつっかかてきた女性にあだなつけて、本名がほとんど出てこないのがw


 第三話は、はじめてお茶会を共同主催したところで、令嬢どうしが取っ組み合いのケンカ。遠い目になるところが楽しい。あと、料理を作っても、味がしなくなる呪いにかかってるエリィさん…


 後半は大学受験からの学校生活。ポンコツヒロイン、マリーさん登場。個人的に一番印象に残ってるキャラだけど、出てくるの後半近くなんだな。
 12歳でオックスブリッジや東大的位置づけの大学に合格か。というか、マリーさんに、エミリアと、高校にも入っていない年齢で難関校に入ってる優秀人物なんだよね…


 エリザベスの兄、エルリックがやべえな。無駄に高性能な人間が、妹に執着しまくる。そっくりさん人形を作ってみたり、筆舌にしがたい執着ぶりで、エリザベスの正気度を下げまくる。引き離して、王宮に保護した王太子殿下がマクナガン公爵家で、神のごとく崇拝され、祭壇は作られるわ、こっそり拝んで王太子殿下の精神にダメージを与えるわ。
 つーか、マクナガン家の使用人がなんかヤバいな。どこから拾ってくるのか、元暗殺者や元特殊部隊員が普通に下級の使用人をやっている。というか、執事が元凄腕傭兵隊長という。で、わざと警備の隙になる雑木林をつくって、そこにトラップ仕掛けまくって、コソ泥ほいほいにしてみたり。


 とりあえず、楽しく読める一作。