ただのぎょー『追放された公爵令嬢、ヴィルヘルミーナが幸せになるまで。 上』

 文字通りのタイトルのお話。浮気王子によって平民に貶められたヴィルヘルミーナが、世界を変える技術を持った研究者アレクシと結婚させられたことから、爪を研ぎ、復讐していくお話。とりあえず、激有能令嬢もとい奥様ヴィルヘルミーナさんが魅力的なお話。「女帝」ミーナさまが、アレクシ関係でポンコツになるのが、ギャップがあって良い。あと、「ミーナ様語録」w


 「真実の愛」を見つけたという王太子と父公爵の奸計によって、婚約破棄されたあげく、貴族家から除籍され、身も知らない平民男性と結婚させられた元公爵令嬢ヴィルヘルミーナ。その「夫」となったアレクシ・ペルトラ氏とともに、いきなり新居に放り込まれる。そもそも、住居のあり方や買い物などの常識がまったく違うヴィルヘルミーナとアレクシが、なんとか共同生活を続けていく。
 そこから、家事もできず暇なヴィルヘルミーナがアレクシの研究資料の整理に手を付け、環境中の魔素を集積して魔石を生成する研究を行っていることを知る。しかし、平民出身のアレクシは、貴族が患部を占める王立研究所で冷遇されていて、個人的に研究を進めるしかなかった。ヴィルヘルミーナは、彼の研究を武器に、王太子への報復を目論む。
 とりあえず、ファッションセンスのなかったアレクシを改造計画で、服装や髪型を整え、作法の勉強し、整った身なりで研究のスポンサー探しを始める。大手銀行の支援を取り付けた二人は、先に高濃度魔素の結晶化装置を完成。毎日ヴィルヘルミーナの魔力で高品質人工魔石を生産できるようになる。アレクシは研究所を辞め、A&V社を設立。魔力鑑定に偽装した魔石生産で、屑魔石を大量に供給できるようになる。
 新たな屋敷に引っ越し、かつての自分付きの使用人を再雇用して、新たな体制をつくるペルトラ夫妻。


 一方、王太子はヴィルヘルミーナにいろいろ押し付けてきたツケを払うはめになっていて。つーか、公務の8割を押し付けていたって。あげく、園遊会を開けば、浮気相手のイーナのセンスが微妙なのは下位貴族だからしょうがないとはいえ、王太子自身もそれを指摘できるセンスがないことが露呈して。徐々に立場が危うくなっていく。
 一方、ヴィルヘルミーナの実家は、王太子の浮気相手イーナを養子として迎え入れ、関係の強化を図って。


 人工魔石の生産は、「レガリア」か。エネルギー源を押さえるというのは、確かに国一つ作れるものだよなあ。一方で、それだけの利権は他所から狙われる。自衛する力を付ける必要がある、と。


 ほおにキスされてきゃあきゃあ言ったり、「俺たちは夫婦で、家族なのだから」と言われて笑み崩れたり。なんか楽しそうなミーナさんがいいなあ。