宮前葵『貧乏騎士に嫁入りしたはずが!? 2:野人令嬢は皇妃になっても竜を狩りたい』

 ラルフシーヌが念願の竜狩りを果たすお話。


 順調に皇太子妃を続けるラルフシーヌ。
 社交とその裏での政治の調整をやりつつ、外国語を覚えて西側の諸国を服従させたり、お忍びで御前試合に出てセルミアーネに負けたり。あるいは、他の女性とセルミアーネが関係持つの嫌さに、子授かりに大騒動したあげく、神頼みでの妊娠からの出産。


 平和に皇太子妃生活を続けているかと思ったら、暗雲が。お忍びで帝宮内で狩りをしていたら、暗殺者の襲撃を受けるラルフシーヌ。警備が万全のはずの帝宮内にも、隣国法主国の暗殺者が入りこみ、さらに大規模侵攻の兆候が。大規模な軍勢を率いて前線に向かうセルミアーネ。
 互いに、神の勢力圏争いが国どうしの戦争の形を取り、さらに「魔力」によって豊穣や戦闘などにブーストがかかる帝国側が単純に優位にある。それに対して、奸計を持って覆そうとする。皇族の一角である公爵家が裏切り、軍勢を引き込み、野戦軍を背後から突いて壊滅させる一方、帝都に部隊を突入させ他の皇族の皆殺しを目論む。
 しかし、害獣の挙動の不自然に気付いたラルフシーヌが、民間の狩人組合などを動員して調査。奢侈のすえに財政難に陥り、法主国と結んだマルロールド公爵夫人の奸計を暴く。その情報をもとに、セルミアーネも背後に回った部隊を殲滅。帝国は大勝利を収める。
 反逆したマルロールド公爵家の処分。さらに皇帝の退位とセルミアーネへの譲位と事後処理が進む。しかし、執念深いマルロールド公爵夫人は、生命を魔力に替えて奉納。奉納しすぎた魔力は、神獣を呼び込む。
 帝都をドラゴンが襲撃し、ラルフシーヌが主戦派となって督戦。民衆の動員と煙幕の投入。譲位貴族の魔法の行使といった新機軸でドラゴンに対抗。最後は、ブレスを吐こうとしたドラゴンの喉元に矢を撃ち込んで撃墜。騎士団が近接戦をしかけ、セルミアーネがとどめを刺す。ラルフシーヌは、竜狩りの宿願を果たすことに。


 その後はセルミアーネの即位からの退位後の30年越しの帰省。


 書籍版書き下ろしは、御前試合で息子に負けるラルフシーヌさん。悔しがる姿がw


 後半は、事件に次ぐ事件で盛り上がるなあ。そこからの穏やかなおさめ方が良い。