宮前葵『貧乏騎士に嫁入りしたはずが!? 1:野人令嬢は皇太子妃になっても熊を狩りたい』

 狩人女子が、ひょんな事から皇妃さままで成り上がってしまうお話。木の枝を飛び移りながら移動するって、なんか絵的にすごいな。
 というか、セルミアーネさんの恋愛センサーのぶっ壊れぶりがw


 11番目の子、かつ長兄長姉の結婚や出産などで養育費用が準備できなかったカリエンテ侯爵家のラルフシーヌは、領地にて平民に嫁がせることを前提に代官の男爵に預けられた。そこでヤンチャに育った彼女は、子供たちのガキ大将兼凄腕の狩人として成長する。
 しかし、貴族として認められる「お披露目」だけは受けさせたいと、帝都でお披露目に臨み、そこでエスコート役に騎士セルミアーネを付けられたのが運命の出会い。
 まったく貴族としての教育を受けていないラルフシーヌは、皇帝の御前でまるっきりマナー無視のあげく、下位貴族の娘をつるし上げていた上位貴族の令息を蹴倒して、大乱闘を起こす。それを見たセルミアーネは自分を縛っていた枷を解き放つ。


 それから2年後、セルミアーネはカリエンテ侯爵家に日参して、ラルフシーヌとの結婚を願い、粘り勝ち。直接、プロポーズにやってくる。帰省や熊狩を約束して、ラルフシーヌにも受け入れてもらい、盛大な地元民による「結婚式」、さらに帝都でカリエンテ侯爵家による結婚式を経て、晴れて嫁入り。セルミアーネが相続した館で生活する。
 嫁取りでかなり財産を減らしたセルミアーネ。ラルフシーヌは、家計を助けるため狩人を始め、凄腕ハンターとして帝都でも知られるようになる。
 順風満帆な騎士の嫁さん生活を満喫していたが、いきなり皇帝に呼び出されたり、不穏な影が。そして、いきなり宮廷に呼び出されて、セルミアーネは皇族に。実は、皇帝の庶子で、皇太子が死病で長くないということで、皇太子になる事を前提に宮廷に呼び戻されたのであった。


 思いもしないことで、皇太子妃になってしまったラルフシーヌ。しかし、挑まれたら逃げない彼女は型破りというか、掟破りの皇太子妃として生きていくことに。
 まったく貴族としてのマナーを身につけていない彼女にスパルタで叩き込むカリエンテ侯爵家。一門総出で大騒ぎ。姉たちと一門からつけた教師役に教えてもらいながら、社交をこなしていくことに。
 マルロード公爵夫人とガチにぶつかったり、こっそり抜け出して帝宮を散策したり、下位貴族の夜会に潜入したり、巨大熊を討伐したり。


 ラルフシーヌが元々跳ねっ返りなんだろうけど、そこに高位貴族だとほとんどあり得ない野生児生活が加わって、めちゃくちゃ戦闘力が高いお妃様が誕生したんだろうなあ。