栢野すばる『悪女(と誤解される私)が腹黒王太子様の愛され妻になりそうです!?』

 青銀の髪に灰色の目とクールな外見に、動かない表情筋と低い声の威圧感、さらに弱みを見せてはいけないという教育の効果で「悪女」と噂される主人公アンジェリカ。将軍家の一人娘である彼女は、ガーデンパーティで婚約破棄されたあと、評判が悪い自分に婿のアテがないということで、誰でも良いから種をもらってシングルマザーで血を継ごうと考える。それを、王太子に話したところ、俺が子種をやると喰われてしまって。
 いや、ヒロインの天然ぶりがかわいいですよねえ。生真面目というか、純朴というか。夜に私室に呼び出される危険性にまったく気付かない。子供たちに剣舞を教えたり、孤児院などでも骨惜しみせず雑用やったり。外見で「氷の悪女」とか噂立てられる外見とのギャップが良い。王太子妃になることが決定的になっていこう、表情筋を動かす体操やってみたり。一方で、荒事には慣れている将軍の娘。


 アンジェリカをずっと狙っていた王太子、ねちっこい。そして、その分だけ濡れ場も。アンジェリカがダンスに誘われまくって、それを楽しんでいるのに嫉妬しまくりとか。
 周囲の人々があっさり懐柔されているのがw
 内患外憂の大国で、中立という細い道を抜ける王様と、とりあえず軍事重視方針の王太子かあ。


 順調に王太子妃ルートが進んでいる中、慈善活動に出たアンジェリカが襲撃を受ける。それ自体は、あっさりと躱して帰還。そこから、クラリティス公爵家が親戚の子供を奪って「娘」として王家に送り込もうとしていた。しかし、「娘」が駆け落ちし、さらにその親が軍の施設に逃げ込んだことから、アンジェリカを襲撃することで圧力をかけてきていた。アンジェリカは「氷の悪女」として、王太子がアリスと結婚相手を入替えてもいいと言っていると嘘を言って公爵家をおびき出す。どうのいった悪女の演技と内心の混乱ぶりのギャップがこれまた。
 イベントを一つこなして、最後はゆっくりとイチャイチャして、結婚で幕。


 しかし、冒頭の婚約破棄シーン、派手で印象深いけど、後の方で描かれたリカルドとアリスの性格的に、あの場でやるのは違和感が出てくるなあ。