彩瀬あいり『セーデルホルムの魔女の家』

 良い雰囲気の小品。


 精霊に好かれすぎるため、人の感情が読めてしまうため、一所に定住せず、凄腕の派遣メイドとして各地を転々としていたメルヴィ。新しい依頼は、育った思い出の家で、療養に滞在する軍人のお世話。
 そこには、養子で、同じく精霊が見える子供、ケイトリンがいて、メルヴィは彼女を導いていくことになる。メルヴィ自身が、精霊の好意でむしろ追い詰められていた時に先達に導かれたように、人から理解されずに苦しんでいる少女を守り、導く。
 パタパタとよく働くメルヴィ。さらに、語学に堪能であることから、国外から届く手紙の処理のお手伝いをするようになって、雇い主のアダムと距離が近づく。


 そして、クリスマス。アダムとメルヴィ、互いに自分の想いに気付き、やっとこ結ばれる。


 元々、この家に住んでいたロサの存在感の大きさ。過大な情報量に苦しんでいたメルヴィに、精霊から送られてくる情報や精霊との付き合い方を教えた人。


 後半は番外編。雪の日に物置でイチャイチャしたり。アダムに、獣医のユエル、兄貴分のコルト、ケルピーのエクウスが集まって、酔っ払って騒いだりして仲良くなるお話。コルトがロサの家に引き取られて、メルヴィと出会った時のお話、というか鼻っ柱をへし折られたお話。最後は、エクウスが、メルヴィの保護者ロサと交渉するお話。