金峯蓮華『魅了が解けた元王太子と結婚させられてしまいました。なんで私なの!? 勘弁して欲しいわ!』

 プロローグと言ったところかな、魅了五人衆が全員登場したところで、この巻は終わり。王太子、宰相の息子、騎士団長の息子、魔導士団長の息子に宮廷医師団長の息子。だいたい、何らかの形で社会復帰しているのだな。逃げて酒に溺れている騎士団長の息子以外は。そして、一番強くかけられた元王太子は、いまだに後遺症に苦しんでいる、と。つーか、起たない。
 宮廷医師団長の息子が一番普通に生きている感じかな。フェノバール領で開業医。魔導士団長の息子は、婚約者が留学していておイタしていなかっために無傷で、爵位を継いで魔導士団長に。一方で、それに切れた弟は引きこもりからの、ヘッドハンティングでフェノバール領へ。自分だけ無傷というのは、それはそれで針のむしろという。自分を責めまくり。
 騎士団長の息子は、自分の責任を認められず酒浸りの転落人生。フェノバール領で王太子に寄生してくだを巻いていたけど、弟に捕まって、辺境で一兵卒からのやり直し。
 ラストに、宰相の息子が領の商会経営者候補としてやってくる。王国の隠密で、実は魅了にもかかっていなかったという。


 とりあえず、ヒロインたるミディアさんがプッチンプッチン切れまくるのがいいですな。
 縁談を嫌がって自室に篭った元王太子リカルド相手に、部屋に押しかけて文句を言いまくった上に、返事ごとにブチ切れて、辞退しますと帰っちゃう。でも、リカルドにとっては怖くなかったのね。
 あとは、リカルドを囮にメンドン公爵を叩いた時にも、現王太子、リカルドの弟相手に自力でやれとぷち切れ。


 一方で、リカルドが独力で、荒れまくっていたフェノバール領を復旧しようと頑張っていたところに、ミディアがあちこちから人を呼んできて、実を結ぶように。あとは、養蚕を発展させたり、乳製品を王都などに輸出したり。
 バンバン尻を叩いて、動かしていく豆戦車。


 書き下ろし番外編は、新婚旅行もとい視察旅行のお話。
 ミディアの16歳の誕生日プレゼントということで、エスタゾラム王国へ旅行に。代々女王が治める同国の王太子(王女)と、猫かぶりが同類ということで仲良くなったり。簒奪を狙っている王弟を潰したり。のんびりどころか、王妃の陰謀でなかなか忙しい旅行に。残党に襲われて、いまいち設定が生きていなかったリカルドの強さが発揮されたり。