暮田呉子『魅了が解けた世界では』

 解けた途端に崩壊するお話。
 「悪役令嬢」が国外追放されて5年後、隣国から呪いや毒を防ぐ魔道具が贈られたところから物語がはじまる。それによって、王太子は魅了から脱し、王太子妃が魅了を使っていたこと、追放された元婚約者の公爵令嬢が冤罪であったことが判明する。幼い頃から婚約者で幼馴染みで、将来を誓い合った女性を裏切ったことに苦悩する王太子。それを発表することで動揺する国内。さらに、王妃を失いぐっと弱った国王の死去。一気に崩壊する乙女ゲームの世界。
 実は、魔道具を送り付けたこと自体が、王太子妃を隣国に連れて行った時に、隣国の王太子に魅了を仕掛けた報復であり、ボルビアン王国を下す策であった。攻略対象の一員で、「悪役令嬢」の実家の公爵家が主導したクーデタにより、元王家は隣国に攻撃をしかけた咎を負って潰されることに。友人たちは、王太子の命を守るのが精一杯。王太子は幽閉の憂き目に。


 後半は悪役令嬢側の視点。学園入学時点で前世を思い出した彼女は、隣国に留学という体で距離を取る。さらに、隣国の王太子妃に気に入られたことから、「信頼できる傭兵」に追放後の殺し屋からの防衛を依頼して、無事隣国へ脱出。その後、その傭兵たるヴァンに保護されて、アクセサリーショップを営むなど、徐々に回復していく。
 あんまり意識していないけど、現代社会の知識を、魔道具の基礎として提案していく存在として重宝される人か。で、それをモノにする試行錯誤は魔道具師たちがやるという、なかなか都合のいい知識チート。
 天才魔道具師ならが、発想力は凡庸なヴァンと相性ばっちり。で、最終的に結婚、と。


 騎士団長子息、幼馴染みの妻を探しに失踪したわけだけど、結局、どうなるのかねえ。野垂れ死に
 その妻は隣国に脱出して、なにやら隣国王太子の配下の諜報員と恋仲になりそうな雰囲気だけど。