小山田和夫『入門:史料を読む:古代・中世』吉川弘文館 1997 ISBN:4642077405

入門 史料を読む―古代・中世

入門 史料を読む―古代・中世

懇切丁寧に書かれた初学者用の史料読解教科書。具体的な史料を例に、勉強の方法が解説されている。入門用に読むべき本、参考図書なども詳細に示してあり、独習には便利な本だと思った。このとおりにやるのは、非常に面倒くさいだろうが、それは他の言語・学問でも同様だろうと思われる。
問題点としては、以下の2点。第一は、学習のためのインフラの問題。、本書に挙げられる各種文献が便利に利用できる場所は、古くからある大学の日本史研究室ぐらいだろうと思われる。。例えば、熊本の県立図書館でも大半が書庫に収まっていて、必要となるたびに請求するとすれば、その手間が非常に大きくなりなりそう。自分で買うにしても、とんでもなく金がかかるだろう。
第2に、オンライン情報について全く言及されていないこと。本書が出版された時期には、ほとんどの大学でインターネット環境の整備が進んでいたはずで、その利用法が全く言及されていないのは、片手落ちではないか。活字翻刻史料を探すときなどは、OPACの利用が一番早いだろう。また、電子テキストについての言及も欲しかった。
あと、内容とは関係ないことだが、この著者の方、えらく古めかしい文章を書くなと思った。著者略歴によれば、52歳だそうだが、それより一世代か二世代上と思っていただけに、少し驚いた。