服部英雄『峠の歴史学:古道をたずねて』

峠の歴史学 古道をたずねて (朝日選書 (830))

峠の歴史学 古道をたずねて (朝日選書 (830))

各地の峠道を実地踏査と文献調査で検証している。日本アルプス周辺の道が多い。
鎌倉街道」についての記述が厚い。
中世の軍道が、河や谷を越える道を維持するのが難しいために尾根を主に利用していたというのが面白い。
八代と人吉の間の「アゼチ道」は比較的近いだけに、手持ちの地図と付き合わせながら読むことができて面白かった。実際に昔の道を踏査するには非常に面白そう。しかし、大学以来夜型生活が板についてしまって、どうにもこういう野外活動は… 140ページあたりの安房峠の旧道踏査でも、山の素人が安易に踏み込んだら酷い目にあいそうな感じだし。個人的には阿蘇郡益城郡の境、阿蘇外輪山の南の峠に興味がある。阿蘇氏の支配領域を結ぶ道、阿蘇と矢部という二つの中心を結ぶ道路として重要だったはずで、どのような道だったのか。