大前研一「全員契約社員にする方が合理的」

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 いや、全然その通りではないだろう。
 だいたい、会社と個々の従業員では「雇用」の重みが全然違いすぎて、そもそも「市場での交換」には不向きな「商品」。会社にとっては解雇はそれほど痛みがないが、個人にとっては死活問題。その圧倒的な非対称があるからこそ、簡単に市場化できていないのだろう?保護されていなければ、買い叩かれてしまうからこそ、労働者保護の制度が発展してきたのではないか?こんなダメな市場主義が、資本主義を腐らせる。
 このエントリで扱われている「正社員の隔離」というのは、正社員と非正社員という分断を作り出してしまった制度に問題があるのでは。
 そもそも、「公正な市場」というものを形成維持していくためには、ただ場を作ればいいだけではなく、紛争を仲裁し、公正な取引の監視機構など膨大な制度を必要とする。このあたり、市場史を少し紐解けばよく分かる。実際に、全体の非正社員化を行うなら、不当労働行為の抑制のためのコストがかかりすぎるのではないだろうか。
 ついでに言えば、このようだ巨大な組織では全員非正社員化したら組織を維持していけないのではないだろうかとか、この手の経済系の人間って自分の業界や自分の体験がすべてに適用できるとか考えているから度し難いなど、いろいろと思うところがある。