遠藤義則『建築模型をつくろう』

建築模型をつくろう

建築模型をつくろう

 建築学科の学生用に書かれた、建築模型の製作マニュアル本。建築デザインの検討用といった目的からか、「作品」として長期間保存するというよりは、短期間で廃棄する模型の作り方といった感じ。全体的に華奢というか。スタイロフォームとか、スチレンペーパーとか、プラモデル界隈ではあまり見ないような材料を使っているのが新鮮。
 総説から始まって、第二部が道具の使い方、材料、材料別のテクニック、種類別のテクニック、建築構造別のテクニック、デジカメ、3Dプリンターといったトピック別に解説される。カッターの持ち方とか、意外と基本的なことが疎かだったりするんだよな。あと、第6章の建物の構造別のテクニック紹介はジオラマなんかに応用が利きそう。まあ、細部まで作りこむって感じじゃないけど。スケール1/50くらいだから、あまりスケールを変えずに1/48の模型のジオラマに応用できそう。
 あと、8章の3Dプリンターの紹介も興味深い。ここではローランドのMDZ-40A、OBJET社のEDEN、ZコーポレーションのZ Printerの3機種を紹介しているけど、最初のが100万を切っているレベルで、最後のなんか一番安い機種が300万近くとか、ものすごい値段。さすが工学部は金があるなあという感じ。積層タイプのZプリンターでは、傾斜地の建物を地形ごと模型化しているけど、これって戦国期の城みたいな建造物が少ない城の再現には非常に向いてそうだなと思った。等高線データをCADで図面化できれば、あとはずいぶん手間いらずなのではないだろうか。