�癲木宏之『写真に見る鉄道連隊』

写真に見る鉄道連隊

写真に見る鉄道連隊

 旧陸軍の鉄道連隊の写真集。鉄道輸送を担った連隊の活動や戦歴を、絵ハガキや個人の写真などを使って示している。全体的に装甲列車と橋の補修が印象に残っている。あまり、歴史的に扱われないシベリア出兵をクローズアップしているのが特徴。人口希薄な土地で、鉄道を主要な連絡手段として戦われているので、それだけ存在感があったのだろう。一方で、日露戦争日中戦争関連の写真は少ない。
 とにかく、シベリア出兵や満州事変で使用された貨車改造の装甲列車や鹵獲装甲列車の写真が多数収録されていて楽しい。日本軍の装甲列車、特に満鉄の貨車改造装甲列車なんて、紹介される機会があまりないのでおもしろい。あと、装甲列車って、意外と装甲が薄いんだな。13ミリって、小銃弾くらいしかふせげないんじゃなかろうか。
 橋梁の修理も、訓練だけではなく、戦地での修理も多数紹介されている。とにかく印象的なのが、大量の木材使用と人力による作業ぶり。枕木を積み重ねた橋脚の上を列車で走るのは怖そうだ。227ページの京包線御河橋梁の場合、2万本の枕木を人力で積み上げて応急修理をしているのだが、今の価値観だと金属製の材料を使ったほうが安いんじゃないかなと思ってしまう。