出生率は景気の遅行指数だ 〜絶望的に勘違いをしている女性手帳の導入について〜(中嶋 よしふみ) - 個人 - Yahoo!ニュース

http://bylines.news.yahoo.co.jp/nakajimayoshifumi/20130510-00024857/
 「女性手帳」が全く少子化対策になっていないのは同意。あれで「少子化対策」をやったつもりになるのは、困りものだと。まあ、人生設計についての知識の啓蒙は悪いことではないと思う。ただ、それなら「男性手帳」もあっていいと思うけどな。
 出生率が「景気の遅行指数」であるという指摘はどうだろうか。日本社会では、景気の状況に関わらず、一貫して低下が続いているわけだし。少なくとも80年代後半には、出生率は景気と相関していなさそう。2005年以降の微小な回復は、確かに景気の影響なんだろうけど。それにしても、微々たるというのが正直なところ。あと、出生率が「景気の遅行指数」になってしまっている現状そのものが問題だと思う。もっと、景気の状況に鈍感なものにする必要があるのではなかろうか。基本的には、少子化が経済の問題、もっと言えば雇用の問題であるという指摘は至当だと思う。
 ここでは女性の収入の問題、出産の機会費用の問題で議論しているが、その前の段階、男女が出会ってカップルになるというところで敷居が高くなっているのが問題だと思う。そこの敷居を下げるのが、雇用の安定、若年層自立といった政策だと思う。そういう意味では、景気の問題ではなく、制度の問題。けど、自民党はやりたくないのだろうな。90年代後半以降、雇用の流動化を主導してきたのは、間違いなく自民党だし、当時と同じ人脈が経済政策の策定に関わっているわけで。
 紹介されているデータや情報にも面白いのが。家を買う人の六割が、子供が5歳以下で買っているのか。あとは、少子化危機突破タスクフォースの議題とか。
 少子化問題については、歴史人口学の本を読んでみると、いろいろと理解しやすくなると思う。特に近世の。