「自主防災組織伸び悩む県内:市町村に結成促す 県、補助制度整備や研修会:全国平均下回る組織率 豪雨災害後も動き低調」『熊日新聞』13/7/20

 住民が連携して地域の防災に取り組む自主防災組織の結成が県内でなかなか進まない。昨年4月の全国調査で組織率は42位だ。昨年7月の豪雨災害後も、結成の動きは活発とはいえず、組織率は伸び悩んでいる。
 自主防災組織は主に自治会単位で設けられ、危険箇所の把握や防災訓練、避難誘導、炊き出しなどを担う。
 組織率は全世帯に占める自主防災組織がカバーする世帯数の割合だが、県危機管理防災課によると、昨年4月の県の組織率は57.7%。全国平均の77.4%を大きく下回る。
 昨年7月の豪雨災害を経た今年3月の調査(暫定値)でも61.7%と、4ポイント増にとどまる。15市町村は100%に達しているが、荒尾、玉名、山鹿、合志、芦北など10市町は50%未満。昨夏の豪雨で大きな被害が出た阿蘇市(82.5%)と南阿蘇村(50.3%)でも新たな結成はなかった。熊本市は30団体増えて56.8%だった。
 その中で最下位になったのは菊池市だ。市防災交通課によると、昨夏の豪雨災害では市内で住宅226戸が床上・床下浸水するなどした。しかし、その後自主防災組織ができたのは2行政区だけ。6月現在で組織があるのは全211区のうち8区で、組織率は13.9%に過ぎない。
 同課はその背景を、1消防団が充実している、2防災意識が低い、3自治体の役員すらなり手が不足している‐などと分析。浸水被害が出たある地区の元役員は「消防団がしっかり動いてくれ、必ずしも必要性を感じない。今のところ結成の話はない」という。
 ただ、同市旭志の小原区(71世帯)は5月に組織を結成。昨夏の豪雨で大きな被害は出なかったが、過去にない川の増水を目の当たりにしたのがきっかけだった。
 避難誘導班や消火救助班など担当を決め、県と市の補助金10万円でヘルメットやロープなど備品もそろえた。藤野富雄区長(61)は「いざという時、消防団員が仕事で不在ということもある。近所同士の連携を大事にしたい」と話す。
 一方、昨年の調査では組織率3%と県内最低だった御船町は、町が住民に設立を促し、89.1%に急伸した。町総務課は「まずは組織化。活動はこれから充実できる」と語る。
 県は2015年度までに県内組織率80%を目指す計画で、新設する組織への補助金制度を整備。今年は熊本や菊池、山鹿など組織率の低い5市で計9回、住民への防災研修会を開き、結成を促す。
 研修会の講師を務める、防災に詳しい山口大大学院の瀧本浩一准教授は「消防団が頼りになるのは災害が起きてから。自主防災組織があれば、地域行事に安全点検や訓練を織り込める。自治会と一体だが、防災を掲げることで意識向上にもつながる。そうした意義を地域に十分に伝えることが必要だ」と話す。 (中村勝洋)

 熊本県内の自主防災組織の組織率が伸び悩んでいるという話。自治会と一体的なものだから、そういう活動が低調なところでは大変だろうな。あと、菊池市消防団が充実しているからというのはおもしろい。
 必要性はわかるけど、自分が関わるとなるとめんどくさそうだなと…