「天草の哺乳類謎を追え:森林総研九州支所(熊本市)が調査」『熊日新聞』13/7/1

 天草には、宇土半島に生息しているノウサギやキツネ、アナグマがいない。一方、長年いないとされてきたシカやイノシシが近年数を増やしている。このような“天草の哺乳類の謎”を解明しようと、森林総合研究所九州支所(熊本市)が調査を進めている。
 天草で哺乳類の本格調査が実施されたのは、30年以上前。1978年に熊本大の故・吉倉眞名誉教授らがまとめた資料によると、イルカなどを除いた陸生哺乳類はネズミやタヌキ、イタチなど9種類がいた。イノシシとシカは貝塚から骨が出土しているが、当時生息は確認できなかった。
 一般的に島の生物の種類は、面積が広くなるほど多くなり、大陸から離れるほど少なくなる。同支所の安田雅俊主任研究員(44)は「天草のように広くて九州本土に近い島は、もっと多くていいはず」と指摘する。
 安田さんはノウサギやキツネ、アナグマは初めから天草にいなかったのではなく、上質な毛皮や肉を得るために人が過去に狩り尽くしたのではないかと推測。イノシシとシカも一時姿を消したが、泳げるため、再び海を渡ってきたと見ている。
 調査は、2012年度から2年間。最も人の手が入っていない天草市天草町の照葉樹林を中心にわなや自動撮影カメラの設置、住民への聞き取りなどを実施している。安田さんは「哺乳類の目撃情報を寄せてほしい」と呼び掛けている。 (久間孝志)

 天草の哺乳類調査の話。利用価値の高い生物は狩り尽くされてしまったか。ありえる話だ。一方で、いつ絶滅したかというのが気になるな。ずいぶん昔なのか、比較的最近なのか。貝塚にシカやイノシシの骨があるということは、古代には存在したわけだよな。あとは、森林環境の変化の影響とかも気になる。こういう島だと、森林にかかる圧力は大きかったのではないだろうか。