「生態系 複雑なほど安定:龍谷大がモデル解析」『熊日新聞』12/8/15

 生態系が特定の生物に偏らず多様性を維持しているのは、異なる生物が助け合ったり、食う、食われたりするバランスで調整しているため―。こんな解析結果を龍谷大のグループが数学の手法を使ってまとめ、米科学誌サイエンスに発表した。
 生態系が複雑なほど、生物の個体数が大きく変動せずに多様性が保たれることを示す成果。理工学部の近藤倫生准教授は「生物多様性の喪失を食い止めるため、保全技術や対策を開発するのに役立つ」としている。
 生態系で生物が一定の数で推移する仕組みは分かっていなかった。
 グループは、異なる生物種間に存在する、互いに助け合う「協力的関係」と、食う、食われる「敵対的関係」に着目。
 協力的な関係と敵対的な関係を数百万のモデルでシミュレーションしたところ、生物の個体数はこうした関係が複雑に絡み合っているほど保たれ、生物種の多様性も維持されることが分かった。
 海外の理論生物学研究者が1970年代、「複雑な生態系は不安定」と報告したが、複雑な生態系が実際には存続している事実と矛盾すると指摘されていた。

 一昨年の記事。少々旧聞に属するが。シミュレーションで解いてみたところ、複雑なほど安定するシステムができたって話だよな。数百万のモデルをシミュレーションって、マシンパワーをぶん回した感じが。経験的には、確かにそうだろうって感じだが、かつては複雑なほど不安定とされていたのか。


関連:
種間関係の多様性が生態系をささえる : ライフサイエンス 新着論文レビュー 「種間関係」の多様性が重要と。
共同発表:さまざまな生物種間に「敵対」・「協力」関係が存在することで自然のバランスが保たれることを発見