崇城大名誉教授の村田重之さん(66)=合志市=が、豪雨や土砂災害などについての研究成果を市民向けにまとめた冊子「防災への提言‐自然災害から何を学ぶか‐」(NPO法人くまもと地域自治体研究所刊)を発行した。
村田さんは1990年の阿蘇豪雨災害や91年の台風19号、2003年に水俣市で起きた集中豪雨による土石流災害など、県内外の現場を歩いて調査を重ねた。12年3月に退職した後、冊子化の準備を進めているさなかの7月、九州北部豪雨が発生。調査の内容を加筆した。
村田さんは、阿蘇などでは、急傾斜地の川のすぐそばに植林されたスギやヒノキなどが押し流されて、住宅を破壊するなど被害を拡大させたと指摘。過去の地図の比較から、川沿いに民家が増えて被害が増えたという。
また、谷あいの地形の出口付近に集落や福祉施設があったために土石流の被害を受けた例を紹介。「建設前に地形の面から場所の安全性を十分に検討してほしい。すでに建設された場合は、避難のマニュアルを作って日ごろから訓練を重ねるべきだ」と訴える。
「自然の破壊力は桁違いで、自分の命は自分で守るという意識と行動が必要」と村田さん。「過去の災害から謙虚に学ぶため、冊子を参考にしてほしい」と話している。
冊子はA4判29ページ。600円で配布している。同NPO(電話番号略) (山口尚久)
土砂災害関連の啓発冊子の話題。後で入手のこと。