「過疎化の旧産炭地課題検証:尚綱大短期大学部・川崎准教授ら:「炭鉱離島の高齢者」出版」『熊日新聞』13/10/29

 かつて炭鉱で栄えた長崎県の高島、伊王島、池島の高齢者の生活を調査した「炭鉱離島の高齢者 その福祉と生活課題」(共著)が出版された。著者の1人は尚綱大短期大学部の川崎孝明准教授(社会福祉学)。旧産炭地をモデルに、過疎化や市町村合併に伴う課題を検証している。
 3島はそれぞれ別の自治体だったが、平成の大合併長崎市になった。川崎准教授らは、1970〜80年代の閉山で、急激に社会環境が変貌した離島に住む高齢者の聞き取り調査を続けている。
 同書によると、いずれの島も閉山で基幹産業を失い、人口が激減して高齢化率は50%前後。伊王島は2011年に本島と橋で結ばれたが、「それ以前は3島とも交通手段が船だけで雇用の場もない。若い世代はほとんど島を出ていき、高齢者が残された」という。
 合併によるひずみも顕著だ。高島では、合併前にあった配食事業が終了したこともあり、「合併を喜んでいる高齢者はいなかった。『市職員は通いで、町役場時代のようなつきあいがない』という声も多い。こうした人間関係の変化も生活の質に影響している」と川崎准教授。
 島での生活を望んでも、医療・福祉は公的な診療所やデイサービスに限られ、重症化すると島外に出ざるをえない現状がある。炭鉱住宅で孤立死するケースもあるという。
 一方で、伊王島では、元町職員が小規模多機能型居宅介護施設を立ち上げ、3島の活性化を目指
NPO法人も設立された。川崎准教授は「3島が抱える問題は全国の過疎地に共通する。福祉や
まちづくりを通じ、住民間のつながりを紡ぐことで、新たな支え合いの形が見えてくるのではない
か」と話す。
 「炭鉱離島の高齢者」は創言社、2100円。(小野由起子)

 メモ。炭鉱の閉山で、行き場のない人だけが取り残された感はあるなあ。そもそも、炭鉱開発前には、人口はどのくらいで、どのような生業を営んでいた島なのだろうか。
 結局合併で、外から金を引っ張ってくる公務員もいなくなって、島の活力は低下と。