「熊本の酒・肴地域で分類:宮崎大の中村教授か出版:「食性の意外な特徴も」」『朝日新聞』12/4/24

 豊かな海の幸と、様々な酒文化を持つ熊本を取り上げた「熊本 酒と肴の文化地理」 (熊本出版文化会館)を、宮崎大学の中村周作教授(53)=人文地理学=が出版した。学生と県内を約2年かけて、約800人に聞き取りした力作。「地元の人も気づかない、意外な地域の特徴が分かるはず」と話している。


 中村教授は、以前は宮崎の伝統的な魚介料理と酒の地域性を調べてきた。すると、熊本の米焼酎「白岳」が広く飲まれている地域があったり、人吉近辺で食べられる鯨が宮崎県北西部の西米良村などでも広く食べられていたりした例が見えてきたという。
 熊本県内の109の酒屋にアンケー卜や聞き取りをした結果、地域によって清酒の割合が高い「熊本型」、米焼酎が好まれる「球磨型」、鹿児島県産の芋焼酎を好む「薩摩型」など大きく五つに分けられた。
 熊本型は熊本市から北部を中心に県全体で広く分布していた。球磨型は人吉市など県南地域、薩摩型は鹿児島県との県境にある水俣市などにみられるという。
 熊本の代表的な魚介料理「タチウオの刺し身」「ガラカブ(アラカブ)のみそ汁」などについては、伝統的な料理に詳しいと思われる70歳前後の女性を中心に658人にアンケートした。内陸部の球磨村や山間部の南阿蘇村では、沿岸部の芦北町に比べても魚介料理が多く食べられているというデータを確認した。
 調査はゼミの学生、院生14人とワゴン車で延べ1万2千キロを走った。聞き取りを断られ続け、泣く学生もいたが、やり遂げた。それだけに「学生、県民への感謝の気持ちがこもった本。多くの人に読んで欲しい」と中村教授。協力してもらった酒屋、作ってもらった料理の写真もふんだんに使われている。1500円(税別)。問い合わせは熊本出版文化会館(096・354・8201)へ。

 熊本の食文化について研究した本の紹介。読もう読もうと思いつつ、のびのびになっている本。大体、市内の図書館はどこでも入っているな。
 熊本市にいるとよく分からないけど、人吉盆地や五家荘あたりと宮崎県のつながりは濃そうだよなあ。かなり手間のかかった労作のようだ。