ハルミチヒロ『あまい声』

 ネットの広告で、表紙を見かけて気になった本。
 表題作の「あまい声」四話に、短編三作プラス書下ろしの「あまい声」後日譚の構成。男性と女性の距離感がいいね。あと、絵が好み。
 「あまい声」は、地方都市が舞台。酒屋の跡を継いだ主人公が、東京で就職して別れた元カノの甘音と再会するところから始まる。再会してすぐにヤってしまうほどの関係ながら、また別の場所に行ってしまうかもしれないと、一歩を踏み出せない主人公の葛藤。自ら選んで地元に残っている以上、こっちも一緒に行くとは言い出せないわな。最終的に彼女が地元で就職して、一緒になるというハッピーエンドに。個人経営の酒屋の先行きの厳しさも含めて、こうきつそうな感じが。
 似たような題材ながら、残されたもの同士が、傷を舐めあうようなセックスをする「なつまち」とのコントラストも印象的。
 一番最後の「17」。34歳のサラリーマンが、ひょんなことから女子高生と恋仲になりかける話。最終的に、一度も性的な接触がないまま、女の子の引越しで別れていくことになるが、こう社会的な良識から距離をとろうとする関係が、逆にこの手のジャンルで新鮮。というか、ここで溺れていってしまうような人は、弱っていたりする人物だから、要注意だよな。


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 ホルスタインへの違和感はあるなあ。このくらいのボディバランスが、私も好きです。