谷甲州『航空宇宙軍史:仮装巡洋艦バシリスク』

仮装巡洋艦バシリスク (ハヤカワ文庫 JA (200))

仮装巡洋艦バシリスク (ハヤカワ文庫 JA (200))

 航空宇宙軍史2冊目。
 メインは外宇宙探査とその後の移民の話をメインに、四本の短編を収録。無人戦闘システム「ヴァルキリー」初登場だけど、この後、常に完全撃破を逃しているような気がする。まあ、機密保持が最優先命令だから仕方ないことなのだが。
 最初の「星空のフロンティア」は、外惑星動乱発生以前の外宇宙探査のエピソード。銀河内の情報流である「シャフト」の存在や、人類の宇宙への拡散など。
 真ん中の二編は、長距離レーザー砲戦と独自に戦術的判断ができる無人戦闘艇ヴァルキリーのエピソード。第一次外惑星動乱時の試験的実戦投入と、その150年後、植民が進み独立運動が盛んになりつつあるプロクシマ星系に現れたヴァルキリー。超長距離レーザー砲戦がかっこいい。
 ラストはほぼ同じ時期のシリウス星系。哨戒艇が、航空宇宙群に追われ帰還手段を失った、外惑星連合軍の仮装巡洋艦バシリスクに遭遇する話。シャフトとか、ムルキラとか。重力制御技術が実用化されているのか。