パリテロ事件とトルコによるロシア機撃墜

[国際][軍事]トルコ軍機によるロシア軍機の撃墜―懸念されていた事態の発生は何をもたらすか(六辻彰二) - 個人 - Yahoo!ニュース

 なんかきな臭いことになってきたな。
 言い分に関しては、ここしばらくロシア機の領空侵犯非難が繰り返されていたし、そもそもロシアのここのところの言動から、トルコに圧倒的に分があるとしか言いようがないけど。
 ただ、トルコ側としても、アサド政権ないしその後継政権を支援する、対IS大同盟の出現は歓迎できないところがあったんだろうなとも。そもそも、アサド政権との対立関係もあるし、現在のトルコ与党はISにかなりシンパシーがあるんじゃないだろうか。パリのテロ事件を受けて、米欧露によるIS討伐大同盟の気運が出てきていたわけだし、それをつぶすために、このタイミングで撃墜したってのはありそう。今までも、撃墜する機会はいくらでもあったわけだし。
 実際、「国内の反対派に対して高圧的に臨み、他方で国家主義的な外交で多くの国民のフラストレーションを解消させてきた」わけだから、どっちも簡単には引き下がれなくて、チキンレースになるだろうな。強硬論以外では、どっちもあまり評判の高くない政権だし。
 クルド労働者党が、名前からしソ連の影響下にあるのはわかるが、ロシアは現在も支援しているのか。

[国際]仏テロによる対IS攻撃 トルコのロシア機撃墜でプーチンの戦略は変更か (THE PAGE) - Yahoo!ニュース

 ロシアの国際的孤立脱却の動きが、撃墜事件によって水をさされたと。二件のテロによって、ロシアとフランスが共通の敵としてIS攻撃に動き出していた。それが、頓挫する状況と。
 ロシアにとってはアサド政権温存が、優先課題であると。で、揺さぶりをかけるために、トルコ国境近辺での空爆を強化するのではないかという見通し。「人道援助」の車列に対する爆撃を見ると、そういう方向になるのかな。

[国際]【パリ無差別テロ】浮かび上がるベルギーとフランスの「イスラム国」コネクション(木村正人) - 個人 - Yahoo!ニュース

 そういえば、フランスとイギリスで、イスラム原理主義者のテロが発生して、ドイツではあまりないのはどういうことなんだろうな。同様に、ネットワークが存在してもおかしくないのに。トルコ系と、他の場所でコネクションが違うってことなのだろうか。
 ベルギーやフランスで、イスラム過激派の地下ネットワークができあがっていると。まあ、移民がまとまった数いるわけだし、以前からささやかれていた話だから、それ自体は不思議ではない。むしろ、その種の組織が軍用の小火器を入手しやすい、武器密売の状況が問題だと思う。

[国際]パリ同時多発テロを戦争へと誘導する未確認情報の不気味 川上泰徳 コラム ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

 ISの犯行声明が、マスコミ報道をなぞっただけのもので、自分たちで企画実行したものとは思えない。「殉教者」を仕立て上げると、ほぼ宗教だけしか頭に行かなくなるので、洗脳を施し、テロを企画したそれなりの規模の組織が存在するのではないかという話。
 で、首謀者とされるアバウドには、テロを企画組織するだけの能力がないのではないかという疑い。
 どうなんだろうな。まあ、IS殲滅大同盟みたいな動きがあったことは確かだけど。

[国際]パリ同時多発テロ:レトリックと復讐。その反復の泥沼(ブレイディみかこ) - 個人 - Yahoo!ニュース

 確かに、「対テロ」の名のもとに、基本的な理念である自由とか、民主主義とか、文化的多元主義が掘り崩されてる状況はあるからなあ。どこでも、監視カメラで網羅されて、追っかけようと思えば、どこまでも追っかけることができる状況だし。
 同じレベルに落ちてはいけないという言説は当然出てくるべきだよなあ。
 確かに「善意ある介入」が泥沼の政治的カオスを生んでしまったのは事実なんだけど、じゃあ、権威主義独裁国家が存続するのを是とするべきか。悩ましいところ。

[国際]パリ同時多発テロはロシアに好機?  WEDGE Infinity(ウェッジ)

 個人的には、パリのテロがそんなにインパクトを与えている理由がいまいちわからないんだけど。イスラム原理主義者による同規模のテロって、ヨーロッパで先例があるのではなかろうか。これだけが特別というのがよく分からない。
 しかし、ロシアの「専門家」の言動のいやらしさがなあ。
 トルコ国境近辺の「牽制」が、事態をよりややこしくしたか。「偶発的衝突」が起きてしまったわけだが。
 まあ、アサド政権の首のすげ替えと、「西側が認める」反政府勢力の政権参画程度が落としどころなんだろうけど。それで安定するとも思えないのが。

[国際]歴史好きの考え事 シリアの歴史

 第二次世界大戦以後のアラブ世界の政治的対立のテーマは、「イスラム保守対世俗的社会主義」で、どちらも西側世界の受け入れられるようなものではない。容喙するだけ、混乱を助長するという指摘。ただ、「世俗的社会主義」も別に「社会主義」じゃないような…
 イギリスやフランスがもたらした混乱の根源。無理やりキリスト教徒人口が多いかつ、結局は過半数に達していない地域をレバノンとして国にした問題。まあ、国の枠組みに無理があるというのは確かだよなあ。

[国際]テロリストが軍隊よりも優位に立つ「非対称の戦争」はすでに始まっている COURRiER Japon NEWS

 別に、冷戦後に始まった話でもないんだけどな。まあ、今までは、「外」でやっていたことが、21世紀になってヨーロッパやアメリカなどの先進国に逆流してきたとは言えるが。
 問題は、テロが、政治的な「理念」を掘り崩してしまうことなんだよなあ。相手の社会を退廃させてしまうことが最大の戦果。
 そもそも、「テロとの戦い」に軍隊が出張ってくる羽目になった時点で負けなんだよな。

フランスは原発テロの悪夢にうなされている 欧州 東洋経済オンライン 新世代リーダーのためのビジネスサイト

 テロの嫌なところは、成功する必要がないってことなんだよな。
 まあ、この記事で想定されているような規模の襲撃は流石に難しいと思うけど。パリの事件でも、実働部隊は10人いっていないわけで。そのくらいの規模が限界なんじゃなかろうか。100人もの部隊を組織するとなると、察知されるリスクの方が高くなると思うが。
 構内にも入れず撃退されてしまっては話にならないが、重要施設を破壊することに成功するとか、制御室まで進入を許すみたいな事態になったら、かなりの衝撃を与えることができるだろうな。現実に原子炉外に放射性物質を放出させるようなことは難しいだろうけど。外部から破壊するのは難しいだろうし、炉心溶融を引き起こすには時間が足りないだろう。

[国際]パリ同時テロは文明の衝突を浮き彫りにしたのか 多文化主義はナイーブな願望ではなく、現代世界の現実 JBpress(日本ビジネスプレス)

 うーん、交じり合っているから、何とかなるかどうかというと疑問な感じが。
 そもそも、ムスリムが多数派になったら、民主的にイスラム法が導入されることはありうるんだよな。教義のなかに、政治制度のモデルもビルトインされているのが問題。
 あとは、ワッハーブ派を輸出するサウジアラビアという問題。

[国際]「イスラム国」の戦い方が大きく変わった理由 幻冬舎plus 東洋経済オンライン 新世代リーダーのためのビジネスサイト

 イラク・シリアのIS勢力が、攻勢の前に苦戦している。これを打開するために、テロの外部輸出を始めたと。かつ、フランスが狙いやすかったと。旧植民地だし、人的なコネクションは結構深いのかもな。
 日本国内だと、フランスのような形のテロは難しいんじゃなかろうか。軍用小火器の持込には、日本国内の犯罪組織の協力をえる必要があるけど、協力する組織あるのかね。

[国際]クルーグマン氏「テロへの恐れが最大の危険」 The New York Times 東洋経済オンライン 新世代リーダーのためのビジネスサイト

 「恐怖とつきあう」というのは、人間にとってかなり難しいことだと思うが。恐怖の管理ができるようになったら、割りと人間社会の問題は解決できるよなあ。
 フランスの現状の反応を引き出すことができた時点で、テロはすでに成功しているというか。

[国際]ISISには経済を破壊する力はない イスラム主義者のテロのロジックと限界 JBpress(日本ビジネスプレス)

 せやろか。
 経済的被害と、直接的に攻撃される被害、わかりやすさが全然違うと思うのだが。どこが攻撃されるかわからないという恐怖はけっこう強いぞ。

[国際]パリのテロ、アナログ回帰で先進国の盲点突く ISがテロへ舵を切ったことにも警戒感強める防衛専門家 JBpress(日本ビジネスプレス)

 大統領の居場所を連絡する「内応者」の存在の可能性。
 探知されることを警戒して、伝令を使った、アナログな方法で連絡を取っている可能性が高いと。逆に言えば、怪しまれない連絡役が存在するはずか。
 そう考えると、けっこう組織の規模は大きそうだな。あと、ヒューミントの重要性が増すと。

[国際]ロシアが再び大規模巡航ミサイル攻撃 パリ同時多発テロ事件とロシアのシリア戦略(小泉悠) - 個人 - Yahoo!ニュース

 ロシアの攻撃強化とシリア和平プロセスをアサド政権有利にする目論見。もっとも、トルコによるロシア機撃墜で、楔を打ち込まれた感があるが。プーチンが激怒しているのも、そういうところにあるのかね。
 まあ、結局出口戦略がないよなあ…
 しかし、紹介されている動画、同じシーンの繰り返しがいくつかあって、イライラするな。