素掘りのトンネル マブ・ニ五穴 (INAXライブミュージアムブック)
- 作者: 中里和人,田口恭史,野口寛人,渡部浩二,久間英樹,小田島高之
- 出版社/メーカー: LIXIL出版
- 発売日: 2015/11/11
- メディア: ムック
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中越と房総の素掘りトンネルは、どちらも山地に水田を開くためのもの。熊本の益城や人吉盆地の水路とトンネルも、米の増産のためのものだし、江戸末期の19世紀には、それだけの投資をして、あまり条件の良くない水田を開発を行っても収益が望めるだけの米価であったってことなのかね。
中越地域については、河川のショートカットが目立つのは知っていたが、アレ、もともとトンネルで掘られたものなのか。地すべりや雪崩対策の側面もあり、根本が河川に浸食されるのを止めて、土砂を安定化させる目論見もあったという。
渋海川の瀬替えは、わりと有名な事例らしい。
6.渋海川の蛇行と瀬替え - 大地の会
蛇行した川と人々のくらし | 特集:渋海川『へんなか』 - 高橋実の本棚
2006十日町市勢要覧 −散歩みち− とおかまち 川を歩く
房総、小櫃川流域の二五穴は、内径が二尺×五尺だからだそうだけど、小さすぎてメンテナンスが大変そう。それでも、減価償却済みであまり追加コストがかからない水路トンネルは、依然として利用されていると。
佐渡金銀山絵巻の拡大写真による、佐渡金銀山の掘削作業の紹介もおもしろい。岩盤を、人力で、ハンマーとタガネを使って掘っていくために、ものすごく掘削の進みは遅かったようだ。排水用に掘られた南澤疎水や立体スキャナを使った坑道掘削技術の経年変化の研究も興味深い。遠隔操作ロボットを使って、素掘りトンネルの調査って、良いなあ。