講演会「城下町のこれから」

 本日は、熊本市現代美術館の講演会に出撃。雨だから、どうしようかと思ったが、バスで行くことに。しかし。外に出て以降、雨が降らなかったという。自転車で行けばよかった…
 「ジブリの立体建造物展」に伴う連続講演会の二回目。古町や新町に残る町屋保存の取り組みについての講演会。あちこち傾いている町屋とか、解体された町屋を見かけたが、厳しい状況のようだ。そもそも、地震前から、年に10棟程度ずつ解体されていたそうで、地震はその流れを加速したとも言えそう。
 新町・古町の町屋保存に関わる三人の方が交替で講演。最初は、人間建築探検處の長野聖二氏による町屋とはどういうものかという解説。続いて、新町・古町町屋研究会の宮本茂史氏による町屋保存の活動の紹介。最後は、熊本地震後に活動を始めたくまもと新町古町復興プロジェクトの事務局長吉野徹郎氏による震災後の活動紹介の順番。


 以下、個別に。
 町屋の紹介は、熊本の都市が、江戸の区割り、明治、大正、昭和とレイヤーを重ねて重層的な歴史性を持っていること。町屋の特徴として、町割りと調和して軒が揃う、職住一体、木造で基本的には戦前よりも前に建てられたものであること。地域の25キロ圏内で生産された資材、木・土・石・紙によって建てられている事。マイレージならぬ、マチヤレージか。熊本の町屋と八女や倉吉の町屋の写真が紹介されるが、確かに互いにずいぶん印象が違う。
 新しい建具が追加されて、雰囲気が変わっている建物が多いのだな。まあ、それも歴史だと思うのだけど。


 続いては、新町・古町町屋研究会の活動紹介。2006年ごろから活動を開始したらしい。調査と家主との交流から始まって、体験型イベント、利活用へと展開。新旧の建物の混在した街を目指していたところで、地震で大量に破損。伝統的な和風建築は、傾いても曳き屋で直せるが、それができる企業が少なくなって、手が回らない。公費解体への申し込みが増えていると。
 町屋ウォッチング調査では、明治期に建てられた町屋が4割になるそうな。町屋の調査に関する資料って、どの程度、まとまっているのだろうか。


 最後は、くまもと新町古町復興プロジェクトの活動。地震の時に、五福小で行った炊き出しから展開。新旧問わず支援するつもりだったが、古い建物の側の被害が大きくて、そちらの支援への比重が高まると。残すためのバックアップ活動。
 劣化しにくい養生シートの配布や瓦礫撤去などのボランティア、相談会などを展開。これからの活動として、町屋を借りて、集会所的な場所を設営すると。