- 作者: 日経ホームビルダー
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2016/08/24
- メディア: 単行本
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住宅の耐震基準は、1981年以前の旧耐震基準、81年以降の新耐震基準、2000年以降の現行耐震基準と段階的に変化している。以前から言われていることではあるが、現行の耐震基準でも、ギリギリ満たす程度だと、震度7や6強では倒壊しないだけで、建物自体は死ぬるんだよな。益城の実績を見ると、壁量2倍では、外観からは無被害になるそうだ。ただ、見えないところでは、どうなんだろう。
あと、なんか金物でガチガチに固めるなら、金属製でもいいんじゃねといった気分に。あ、でも、軽量鉄骨住宅も壊れてるんだっけか。木材は木材で、粘りがあると。そもそも、震度7喰らったら、無傷で何とかしようというのが無理なのかね。
後半の実際に、どのようにぶっ壊れるか、実験を紹介した部分がおもしろい。筋交いは、いろいろと微妙とか、木質モノコック構造にすると強いとか。1975年に、同時にたてた住宅を移築、震度7で揺らした実験が興味深い。耐震補強をしてない建物は崩壊。一方で、耐震補強を行ったほうも再起不能。補強したほうは倒壊しなかったという点でそれなりの意義があるわけだが、かかった費用が130万円というところが悩ましい感じだな。それなら、建て替えの方がコスパ良くないかというか。震度7の地震に遭遇する頻度を考えると、補強しないという結論になる人も多そうだなとか。
1階だけ補強すると今度は2階がペッチャンコになるリスクとか、耐力壁のバランスが悪いとねじれて壊れるとか、増築部はきっちり結合しておくべきとか。あと、壁内の筋交いが、かなり気難しいシステムというのが印象的。角度だの、切り欠きの処理だの。
住宅建築の実務者向けの雑誌だからそうなるんだろうけど、地震被害も含めたライフサイクルコストの視点。あるいは、建物の「固め方」と家具散乱の関係なんかも、もう少し取り上げてところ。震度6強から7クラスの地震を受けた場合、現行耐震基準でかなり余裕を見込んだものでも、それなりにぶっ壊れると思うが、修理費や建て替え費用も含めて、どういう選択が一番、安くなるのか。
あと、ガッチリ固めた建物と柔構造の建物で、家具や家財の飛散具合がどう変わるのかとか。