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チベット難民のアイデンティティを維持するための組織として結成され、チベット文化・問題を国際社会に発信するための装置である「チベット難民芸能集団(TIPA)」が、グローバル化の流れの中で、どのように変容してきたかを紹介する。
TIPAは、チベットで技芸を身につけた人々によって結成され、最初は、第二世代を幼少時から寄宿舎で徹底的に鍛え上げ、身体化した芸能を身につけさせていた。しかし、難民の高学歴化や早い段階で引き離すことに対する批判から、2004年以降、高校卒業程度の人材を採用するようになる。結果、それ以前と、技量に大きな差が出てしまったと。
後半の移民をめぐる意識の変化も興味深い。移民への批判と移民への憧れ。TIPAが移民に有利と言う批判や、移民への腰掛として利用しようとする若者の出現など。
さらに、アメリカなどへの移住後、生活に追われ、「芸能」が二義的なものになっていく状況。
Tibetan Institute of Performing Artsを「チベット難民芸能集団」と訳すのは、それが亡命政府の「組織」である点でも、いまいち実態を表現し切れていないような。