「食糧の帝国――食物が決定づけた文明の勃興と崩壊」フレイザー&リマス 著 Kousyoublog

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 余剰食糧による「食糧帝国」の盛衰から、現在の社会に警鐘をならす感じの本なのかな。
 「余剰食糧が富を生み、富が都市と社会、そしてそこで暮らす人びとの生活を繁栄させる」って、ずいぶんオールドスタイルに聞こえるな。むしろ、食料は「分配」されるものって感じが。で、分配を通じて、権力が育まれるってのが、ポランニー以来の考えだと思うが。市場経済というのは、むしろ奢侈品交易を基礎にしたものではないかと感じる。
 過去の文明の盛衰を考えると、確かに現在の状況は危うく感じる。20世紀が、気候が農業生産に適していた一時期というのは確か。そして、条件の悪い地域まで拡大した、現在の農業がかなり無理しているのは確かだと思う。でかくなった分、ぶっ壊れる時の反作用もでかそう。
 リスクヘッジとしての「地産地消」の必要性に関しては、完全に同意。そういう点からも、TPPなんかの全世界的な食糧生産の「分業」には懐疑的になるんだよな。