「キヌア食料問題を救う:アンデス原産の穀物:厳しい気候に強く栄養豊富」『熊日新聞』13/6/13

 うーん、世界的な「食糧問題」ってのは、結局流通と分配の問題で、供給量の問題ではないだろう。そもそも、供給過剰で安いから、あちこちの農家が苦労しているわけで。
 このキヌアにしても、欧米の金持ちのファッション食として受けたから、高く売れるようになったというだけに過ぎないだろう。
 まあ、アンデスの未利用地が利用可能になる。今まで現金収入がなかった人々が、現金を入手できるようになったというポジティブな要素はあるけど。
 見た目、収量とか、脱穀・輸送なんかに適した穀物ではなさそうだな。
 あと、これでこの地域の人々が借金をして、なんかはじめるようになると、今度は現金経済に組み入れられたための貧困に陥りそうな気配が。いつまで売れる作物であり続けるのやら。

 寒暖の差や乾燥に強く、栄養価に優れる南米アンデス原産の穀物「キヌア」が、世界的な食料問題の救世主になる可能性があるとして期待が高まっている。国連は今年を「国際キヌア年」に設宜、欧米では健康食品として人気だ。原産地のペルーやボリビアでは生産、輸出が増えており、アンデスの貧しい農家に生活向上の兆しが見え始めている。


 青く澄んだ空の下、冠雪した高峰を望む畑。高さ1〜2メートルに茂ったキヌアは5月末、薄茶色に色を変え、収穫期を迎えていた。ペルー南部アレキパ郊外ヤンケ。標高3500メートルの山中に3ヘクタールのキヌア畑を持つサンティアゴ・カサレスさん(75)は「焼き畑農業で手がかからないのに収入になる。アンデスの黄金だ」と白い歯を見せる。
 食物繊維やビタミンが多く、栄養バランスの良さで知られるキヌアは、氷点下や酷暑のいずれでも生育が可能で、やせた土壌や雨の少ない地域でも育つ。ペルー、ボリビアエクアドルで世界の生産量の8割を占め、多くを標高2500〜4千メートルの高地で栽培する。
 かゆやスープに使うほか、ゆでてサラダに使うのも一般的。ゆでるとプチプチした食感で、あまり味はしないが、健康志向の強い欧米でも人気が高く、日本でも広まりつつある。
 需要の増加で国際価格は10年前の数十倍に上がり、昨年のペルーやボリビアからのキヌア輸出は前年比3〜4割増。以前は現金収入がほとんどなかったカサレスさんは「これまでは手作業だったが、最近はトラクターを借りられるようになった」と喜ぶ。ヤンケには数年前に電気が通り、テレビを買うこともできた。
 アンデスには未耕作地が多く、キヌアの生産拡大が世界的な食糧危機を救う可能性があるとして、国連は「飢餓撲滅に重要な役割を果たす」と期待。ペルー取府などは品種改良や生産拡大計画を進めている。  (アレキパ共同=遠藤幹宜)