阿部藍樹『白翼のポラリス』

白翼のポラリス (講談社ラノベ文庫)

白翼のポラリス (講談社ラノベ文庫)

 飛行機ネタは、基本的にチェックする方向。ネットで紹介文見て、おもしろそうだったので。基本的には、悲恋成分がない『とある飛空士への追憶』といった雰囲気を感じるな。代わりに少年少女の未来がつめられている。


 陸地の大半が沈み、巨大な船上の都市と少数の島々で人々が生きる世界。それぞれの船国を結ぶ航空機パイロット「スワロー」の少年シエルは、休暇先の無人島で漂着者の少女ステラを拾う。どう見てもワケアリの彼女に依頼されて、船国バトーを目指すことになる。


 家族を全て失って、空にしか居場所がなかった少年が、ステラとであって、人との関係に向き合うようになる。そして、平和のために、ひたむきに命をかける姿は清涼感がある。海と空という舞台がいいね。


 一方で、両国の戦争を誘発しようとした「ボレアス」という謎の国、そして、この世界では他に存在しない自走可能な船は、何を企んでいたのか。シエルの父親?は何をしていたのか。
 父親が父親らしい作品って、ラノベでは珍しい気がするな。立ちふさがる障害にして、導くもの。