裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル (ハヤカワ文庫JA)
- 作者: 宮澤伊織,shirakaba
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2017/02/23
- メディア: 文庫
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偶然、入り口を見つけて、興味本位で探索していた紙越空魚は「くねくね」と遭遇して、死にかける。そこを仁科鳥子に助けられ、二人で裏世界を探検するようになる。
なかなか、怖くて、いいですな。ラストの、解決したような、してないような結末も。現実が徐々に侵食されていくような、居心地の悪さが印象に残る。結局、コンタクトを試みていた、何らかの存在は、目的を達したのかね。言語や認識がおかしくなって、裏世界では文字が読めなくなってしまうとか、なかなか怖い。
さまざまなネット怪談をモチーフに使っているのが、興味深い。一時期、洒落怖のまとめサイトに入り浸っていたから、くねくね・八尺様・如月駅は読んだことがあるけど、時空のおっさんは知らなかったな。物語の設定としては、空魚の知識にアクセスして、そういうのが出現したってことなのかな。
とりあえず、裏世界に踏み込む主人公二人の壊れっぷりが、尋常じゃないな。鳥子のほうは匂わされているだけだけど、空魚にいたっては、なんかものすごいな。作中で「依存性サイコパス」とか言われているけど、それ以上に、なんか、怪異を呼び寄せる系なんじゃ。まあ、そういう欠落した二人だからこそ、強く結びつくものと。
結局、閏間冴月という人物はどうなったのだろう。なにか飲み込まれてしまったのか、あるいは、そもそもが人外の存在だったのか。