『パンツァー』2017/8号

PANZER(パンツァー) 2017年 08 月号 [雑誌]

PANZER(パンツァー) 2017年 08 月号 [雑誌]

 久しぶりの『パンツァー』誌。このボリュームで一冊2000円弱は、ちょっときつい。写真とかは、いいんだけどねえ。
 特集はレオパルド2の最近の改良型の話。なんか、いろいろと付け加わって、重量マシマシと。横上下の増加装甲に、防盾の防御強化。そして、火力の強化。120ミリ砲の砲身延長から130ミリ砲へのアップデート。なんか、機動力で問題でそうだなあ。
 あとは、シリアでトルコ軍のレオパルド2がやられた状況の紹介とか。あの、砲塔が吹っ飛んだ車両、自爆じゃなくて、車体の弾薬庫が爆発したのか。斜め後から対戦車ミサイルを撃ち込まれて、メタルジェットが到達。かなり深刻な問題だと思うが、トルコ軍のレオ2は、増加装甲をつけていなかったのだろうか。
 つーか、ロシアのアルマータ戦車、ゲームチェンジャーとか言われているけど、そんなに強いの?


 あとは、西ドイツ軍戦車部隊の一翼を担い続けたアメリカ戦車の話も興味深い。再軍備アメリカから装備される重装備は不可欠だったと。しかし、必ずしも使い勝手が良かったわけではない。狭い、複雑で使いにくい、要員が多い、燃費が悪いと良いとこなしで、あっさりお払い箱になったM47戦車。やっぱり、燃費が悪くて、持て余したM48A1。一方で、M48A2Cは、燃費改善と照準装置の性能の高さから、長く使われた。柔軟反応戦略によって、予備部隊を一線級部隊として運用する構想から、改造されながら、冷戦の終わりまで使われ続けたと。


 「マルチドメインバトル」という概念を解説するコラムも興味深い。「マルチドメインバトル」の具体的な様相はわからないが、ウクライナ紛争がアメリカ陸軍に与えた衝撃と電子戦・ネットワーク戦での自信喪失ぶりは良く分かる。
 湾岸戦争以降、アメリカ軍が享受してきた戦場での情報環境は、ロシアや中国といった対等の敵相手には維持しがたい。電波妨害や指揮システムへの侵入などによるによって、各部隊が孤立して戦う環境になる可能性が高い。よって、自己完結した、比較的小規模な部隊が必要になると。なんか、冷戦初期の核戦争下の部隊運用ドクトリンみたいになって来たな。


 カールグスタフM4やフランス機甲師団の記事もおもしろい。あるいは、カラー写真のコンバインド・リゾルブ演習やエストニアに展開するイギリス軍車両など。カラー写真は、色合いや汚れ具合が分かっておもしろい。