湖山真『偽装の聖剣と竜装の戦姫』

偽装の聖剣と竜装の戦姫 (一迅社文庫)

偽装の聖剣と竜装の戦姫 (一迅社文庫)

 同作者の前作と同じく、南十字教団と魔族たちが争う世界。三年後の世界を描いている。
 死んだ「勇者」の右腕を受け継ぎ、その遺志を継いで神器を破壊して回るサイオンとその義妹シュリは、神器の制作者、魔人族の生き残りルミカと出会う。ちょっとした事故で、彼女の魔力を根こそぎ奪ってしまい、魔力を返すために、一日一回のキスを数日続けることに。
 少年と少女が、余儀ない事情で行動を共にするようになるという点で、前作と話の構造は同じ。かつ、敵は同じく、南十字教団が外道な手段に出るのを阻止。新味は、あまりないかなあ。
 そういえば、前回は双魂者、今回は勇者の腕を移植と、人族側の最終兵器「勇者」としてはイレギュラーな存在なのも、共通しているな。


 サイオンも、ルミカも、多くの人を殺害し、使う人間をも破壊してしまう神器を何とかしようとしている点では、志は同じ。そして、魔盾を使い虐殺を行おうとしている「死告聖者」イシドアを阻止するという目的で、共闘を行うことに。
 ルミカと、サイオンの右腕の元の持ち主勇者クランの妹シュリの、サイオンの奪い合いも、楽しい。というか、シュリさんの暴走モードがなんとも。