鴨志田一『神無き世界の英雄伝 3』

神無き世界の英雄伝〈3〉 (電撃文庫)

神無き世界の英雄伝〈3〉 (電撃文庫)

 残念ながらの打ち切り。三大国の大戦絵巻は、広げられず。中立宗教国ノウンスベルンの法王ソウハク・コウユウあたりがどんなキャラなのか、見たかった。
 最終的には、異能ゆえに親にも捨てられたレン・エバンスと継承権を捨てたゆえに疎外され続けてきたネリー・クローバーという二つの孤独な魂が、相互に支えあう関係になったところで幕。いい感じに終わった風に見えなくはないが…


 正面から戦っても勝ち目のない、銀河連合の強力な艦隊に対して、ロイ・クローバーは中立のノウンスベルンの領域を通過して、後方拠点を占拠する戦略を提案する。しかし、その拠点惑星ダリアは、巨大な重力子フィールド「イージスの盾」によって、守られている星であった。しかも、占領した銀河連合軍は篭城策に徹して、出てくる様子がない。
 イージスの盾の重力子フィールドの周波数を、膨大な演算能力を誇る電子妖精によって解析し、無理やり突入する。これが、戦略の基本。しかし、それだけに、機密保持は周到で、不安にさいなまれる参謀以下の艦隊要員。
 そして、重力子フィールド内での、乱戦。しかし、レンは、自分を捨てた家族がダリアに居住していることを知り、動揺し、相手に完全に翻弄されてしまう。
 そこから、ネリーの一喝からの、大逆転。「悪魔の一手」か。


 で、割と長めのエピローグ。レンと家族の別れと、ネリーとレンの相互理解と支えあいの関係の構築。