今和泉隆行『「地図感覚」から都市を読み解く:新しい地図の読み方』

「地図感覚」から都市を読み解く: 新しい地図の読み方

「地図感覚」から都市を読み解く: 新しい地図の読み方

 最近は、ネット地図、グーグルマップやヤフー地図が隆盛しているし、地形図も地理院地図経由で見ることが多くなったが、はやり、それ以前を知る人間には、「都市地図」と言えば昭文社だよなあ。著者自身が、昭文社の都市地図準拠っぽい架空都市の地図作成者だけに、思い入れが深いようだ。


 しかしまあ、私は特定都市の歴史や地形を追っかけるのがメインだけに、都市の施設の平均的な大きさみたいな発想はなかったなあ。こういうのは、まさに空想地図製作者の面目躍如。45ページの「違和感のある空想地図」、一見して違和感だらけなんだけど、どこがどうおかしいか、鉄道以外では、パッと言語化できなかった。


 都市地図の道路の姿から、地域の建物の密度や地形を推測するかあ。普通に地理院地図だの、衛星写真を別窓に表示するけど、紙地図の時代には、必須の技能だったのかな。新旧の街道を読み解いたり、土地の変化を読み解いたり。ここらあたりは、地理院地図とヤフー地図を表示して、パソコンの前で読むべきところだったか。今回、時間がなくて、そこまではやっていないけど。


 それぞれの都市を挙げての、事例紹介も興味深い。地形的に隔離されている佐世保が都市としての凝集性を維持する一方で、佐賀市が拡散していく状況。そのメリット、デメリット。新潟市の分離型中心市街と静岡市の凝集型中心市街、などなど。