三田誠『ロード・エルメロイ2世の事件簿 2:case.双貌塔イゼルマ(上)』

 ライネス視点のお話。このシリーズ、ロードの周辺の人が語り部で、本人はブラックボックスのままなのか。そりゃ、名探偵の一人称視点は難しかろうけど。


 「美しい人間」を作り上げることで、根源を目指してきた魔術師の家系イゼルマ家。その家の黄金姫・白銀姫のお披露目の社交会に招かれたライネス。敵対派閥に属するイゼルマ家ということで、護衛代わりにグレイを連れて、イゼルマ家の双貌塔に赴いた彼女は、そこで黄金姫から亡命を打診される。しかし、翌日に交渉に彼女の自室に赴いたライネスは、そこで黄金姫のバラバラ殺人の惨状を目にすることになる。
 さらに、自らの疑惑を晴らすために捜査を買って出たところ、黄金姫の侍女カリーナの殺害直後の場面に行き会い、疑惑を深めてしまう。
 そこに、ロード・エルメロイ2世が登場。事件を自分の預かりにする。
 四苦八苦しながら事件の真相に迫ろうとする彼。しかし、何やら青崎橙子やロード・バリュエレータも怪しい動きを見せ、第三者アトラム・ガリアスタも殴り込みをかける様子。混迷の度合いを深めることになる。


 圧倒的な「美」というのは、そりゃ、魔術的なものだよなあ。本当に、そのようなものがあるかどうか知らないけど。
 つーか、言葉にならない美を、あっさりと伏せ字にしてしまうアイデアが、一番のトリックのような気がするなw
 これは映像化が無理そうだなあ…


 何か忘れているのかとつぶやく橙子やライネスが見つけた灰が、伏線なんだな。読んだ時点では意識していなかったが。