今年印象に残った本2019(ラノベ・フィクション部門)

 今年も、例によって、後半失速。いや、今年は秋以降、小説を全然読んでないんだよな。こういうのも珍しい。そもそも、10シリーズ揃わないかと思った…

10位 三田誠『ロード・エルメロイ2世の事件簿』シリーズ

 アニメを含めての評価。つーか、魔眼蒐集列車の途中で、いきなり読めなくなっているモードだが…
 魔術で因果関係もいじれてしまうため、そこも含めて、相手を折伏してしまわないといけないのが大変。平凡な魔術師でしかないロード・エルメロイ2世が、博識とはったりで、海千山千の魔術師たちと対峙していくお話。

9位 喜多川信『空飛ぶ卵の右舷砲』

空飛ぶ卵の右舷砲 (ガガガ文庫)

空飛ぶ卵の右舷砲 (ガガガ文庫)

 ポスト・アポカリスプものでヘリコプターバトルもの。
 人造の豊穣神ユグドラシルの反乱によって地上を追われた人類は、海上に拠点を置いて、さまざまな資材調達に、陸に進入して生活するようになっていた。そこに飛び込む主人公たちの戦い。ヘリコプターの上下左右へ自由に動ける特性が、戦闘シーンを面白くしている。

8位 笹木さくま『暗黒騎士様といっしょ!』シリーズ

 ウィザードリィっぽい迷宮に、ラスボスの格好をした主人公が、女の子たちと挑むお話。迷宮が危機を引き起こすと懸念するからこそ、迷宮に挑む王女ルーファ。それに対して、「皇帝」はなにを知っているのだろうか。
 主人公アルバの度を過ぎた朴訥さが楽しい。無自覚に、女の子たちを落としていく手際w

7位 保住圭『新婚同士ですることぜんぶ:教え子でサキュバスの嫁と添い遂げよう』

 エロラノベ枠。
 主人公が気にしていた教え子が、実はサキュバスで。事故で両親を失い、天涯孤独となった彼女は、主人公を糧とすることで生き延びようとする。
 で、主人公は彼女、かがりを徐々に攻略していく。銀髪サキュバスさんがすごく良いですね。もともと、生きるために利用していた主人公に、徐々に攻略されていくかがりさんがエロかわいいです。

6位 あざの耕平『ダーティキャッツ・イン・ザ・シティ』

ダーティキャッツ・イン・ザ・シティ (中公文庫)

ダーティキャッツ・イン・ザ・シティ (中公文庫)

 吸血鬼もの。
 東京の吸血鬼を束ねる「白猫」が突如失踪。楽隠居を決め込んでいた主人公「番犬」は、遠夜と名乗る少女に押しかけられて、吸血鬼界の混乱に巻き込まれることになる。
 なんか、今ひとつ、物足りないというか、もったいないというか…

5位 渡瀬草一郎『妖姫ノ夜:月下ニ契リテ幽界ヲ駆ケル』

妖姫ノ夜 月下ニ契リテ幽世ヲ駆ケル (電撃文庫)

妖姫ノ夜 月下ニ契リテ幽世ヲ駆ケル (電撃文庫)

 蛇は、思い込みが激しい。
 主人公椚雪緒は、関東大震災直後の横浜で、下宿生活を送ることになる。ところが、その下宿先の屋敷の主は、「妖」と呼ばれる存在と密かに商売をする関係で。彼に引っ張られる感じで、妖怪の世界の騒動に巻き込まれていくことになる。
 主人公がハイスペック鈍感すぎて、なんかすごい。貴様、本当に人間か、感が。そして、妖の姫君、宵姫のヤンデレっぷりが、すでに片鱗として現れている。そのうち取り殺されそうなw

4位 瀬尾つかさ『監獄勇者のやり直し:貶められた最強の英雄は500年後の世界を自由に生きる』

 「なろう」で連載中の作品の文庫化。
 大陸を蹂躙した邪竜アイシャザックを討伐した英雄の一人、剣士コガネは、謀反の疑いをかけられ、幽閉されてしまう。しかし、邪竜の血で不死の存在となっていたコガネは、500年の後、監獄から救い出される。
 彼は、アイシャザックの「生まれ変わり」、アイシャとともに、同じく不老不死となった、かつての仲間を求めて、「帝国」崩壊で変わり果てた世界を旅することになる。
 続きが楽しみ。

3位 川口士『黒獅子城奇譚』

黒獅子城奇譚 (ダッシュエックス文庫)

黒獅子城奇譚 (ダッシュエックス文庫)

 ファンタジーで館ものミステリー。
 放浪の騎士グレンとその連れの魔術師リューは、嵐に降り込められて、黒獅子城という廃城に逃げ込む。そこには、すでに多数の先客が雨宿りをしていた。そこで起きる殺人事件。自分たちにかけられた疑いを晴らすべく、二人は捜索を開始する。

2位 ざっぽん『真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました 5』

 ほぼ一冊、「なろう」連載に入っていない書き下ろし。
 リットの指輪の宝石を入手するため、「世界の果ての壁」山脈のジェム・ジャイアントの下に向かう一行。しかし、そこでは宝石を食べるモンスターが暴れ回り、ジェム・ジャイアントも、宝石が入手できず消耗していた。このままではゾルタンの水源も危ないと、モンスターに挑む一同。
 人間ところなる論理で生きるズークやジェム・ジャイアントといったモンスターたちが興味深い。この世界観が割と好きだわ。

1位 伊東京一『凶腕の獣、樹海の鬼:森林保護者フェイ・リー』

凶腕の獣、樹海の鬼 森林保護者 フェイ・リー (徳間文庫)

凶腕の獣、樹海の鬼 森林保護者 フェイ・リー (徳間文庫)

 今年ベストは本書。もうね、19年ぶりに『Biome』の世界観を引き継いだ作品が出てくるとか、夢のようですわ。
 実の兄に裏切られ、積みに陥れられた主人公フェイは、禁術の寄生虫を自己に摂取し、兄を追う。寄生虫を使った復讐合戦が『Biome』と比べても一段エグくて、満足です。そして、やっぱり復讐はなにも生み出さない、か…