熊本県立美術館「美術館コレクション:”表情”でみる美術」

 今回のテーマは「表情」。基本的には人物画の表情だけど、工芸品でも「表情」という言葉を使うことがあるということで、工芸品も並ぶ。
 とりあえず、私自身は基本的に人物画にあんまり興味が無いんだなと再確認。


 全体構成は、浮世絵、肖像画、歴史画、動物画、工芸品、人形、近代絵画の7部構成。今西コレクションと細川家関係の美術品の層の厚さが印象深い。

浮世絵にみる“表情”

 最初のセクションは浮世絵。平安時代ほどではないが引目鉤鼻の皆同じように見える顔だが、その制約の中で、いろいろと仕草や服装などで感情を表すそうな。ほろ酔いの「桜下芸妓図」がちょっと顔を赤く染めて、服装味だれ気味、かなり酔ってる「楼上芸妓図」では足元が怪しいのを服を掻き上げている様で表現していたり。


 「橋上群衆図」。隅田川の橋で花火の打ち上げを眺める人々を描いた図。いろいろな表情の人々が印象深い。



 「美人目隠し達磨図」。ダルマさんが、どう見てもキャバクラかなんかで酔っ払ってるオッサンなんだがw



 「松本幸四郎仁木弾正図」。かっこいい。



 「歌妓恵以路図」。こういう、目をまともに描くのもあるのね。



 「地獄図巻」。なんか、ユーモラスというか、いろいろとネタを出すのが大変そうな絵。




肖像画にみる“表情”

 細川家関係の肖像画を中心に、江戸時代の人物像を紹介。寄託品が多くて、写真はあんまり撮れず。
 「沢村大学像」が好きだなあ。あと、「細川重賢像」のこう、なんというか手加減が必要そうな感じが…


 「雪舟像」。肥後藩御用絵師の矢野吉重が写した図。雪舟というと、こういう矢野派経由のイメージが強いな。


歴史画の“表情”

 ここは、タイトルの通り近代の「歴史画」を表情の点から紹介。「六歌仙」のアンニュイな表情は確かに気になるところ。


 高橋廣湖「裂封冊」。ガチギレ太閤。


動物の“表情”

 ここは動物画パート。犬追物図屏風が迫力満点だけど、写真撮影禁止。


 「白鷺図」。さすがに蟹さんがデカすぎのような。飲み込めなさそうw



 「矮鶏図」。肥後藩の中老が、愛玩している矮鶏を描いて、誰かに贈った絵の模様。


材質が見せる“表情”

 ここは、工芸品が見せる「表情」ということで、テーマに結びつけている。刀、陶磁器、増村益城の漆芸品、金屏風など。それぞれの風情を。


 「刀 折返銘 国行」。相変わらず、刀はよく分からない。太刀を打刀に作り替えた物のようだ。



 「象嵌草花文硯屏」。こういう象嵌陶器好き。




 「白磁花型猪口」。さすが、藩窯だけにずいぶん薄い。網田焼。




 「染付牡丹蝶文大徳利」。こちらは民窯化した後の網田焼。これはこれでいい感じ。


人形の“表情”

 うむ、御所人形もあんまり興味が無いな…
 御所人形、ひな人形、能面がこのセクション。あとは、平田郷陽の人形作品など。没年が新しい人は著作権上の問題か、撮影禁止。


 20世紀に入ってからのひな壇飾り。細川護立の娘、敏子の初節句のために誂えられた物だそうな。人形は揃いで、飾りは専門店や三越で誂えたそうな。



 「九曜紋唐草蒔絵雛調度」。猶姫の婚礼調度が形見分けで敏子に渡ったと伝えられるそうな。こういうミニチュア好き。



“表情”をよむ

 熊本の近代洋画家の作品を中心に、様々な人物がを紹介。
 個人的には大塚耕二「魚取名人の肖像」が好き。顔はアスキーアートみたいな表現だけど、全身でどやあといった感じの風情が。