肥後の里山ギャラリー「永青文庫展Ⅵ:仙厓:細川護立禅画コレクション」

 先々代の細川家当主で、美術コレクターとして有名だった細川護立が蒐集した仙厓義梵の書画の展示。もともと、禅画は大病したときに読んで、病からの回復に役立った白隠の書画がメインだったが、「人形売り図」を見せられて興味を持って集めたという。
 博多聖福寺の住持を務め、博多の人々の求めに応じて多数の書画を描いた仙厓義梵。水墨画の研鑽を積んだ上で、力を抜いた「無法」の絵の境地に達した。独特のゆるい人物や動物の絵が、いまだに人気を誇る。


 写真撮影禁止ということで、言葉で表現するしかないのだが、最後の展示品の「龍虎図」がいいなあ。大画面に、ゆるいというか、猫にしか見えない虎とこれまたゆるそうな龍が向かい合う図。絶対戦いになりそうにないのが素晴らしい。
 コレクションの端緒になった「人形売り図」、あるいは「達磨図」も、独特の緩さがいい。


 最初からゆるキャラ的境地に達していたわけでなく、早い時期の「出山釈迦図」は、衣服は伸びやかな線で描かれているが、顔はかなり細かく描き込まれている。
 あと、「竹図」や「朝顔図」のような植物画に関しては、普通に水墨画の絵なんだよな。禅画や風俗画との描き分けが興味深い。


 賛がおもしろいな。「花見図」の「楽しみは花の下より鼻の下」とか、「鏡餅と鼠図」の「鏡餅 鼠み引こそ目出たけれ」とか。狂歌的な感じが楽しい。
 あとは、「不動明王図」の「よいや不動の栄華ばい」と方言を取り入れた賛とか。