まゆらん『転生しました、サラナ・キンジェです。ごきげんよう:婚約破棄されたので田舎で気ままに暮らしたいと思います』

 一人称の語り口がテンポ良くて、楽しく読める一作。
 ゴルダ王国の傲慢第二王子に、妊娠不能という理由をでっち上げられて婚約破棄されたヒロイン、サラナは、母親の実家、隣国の辺境伯ドヤール家に移住する。王子の婚約者として、公務も押し付けられて忙しかったサラナは、のんびりと暮らそうするが、知識チートで作るもの、作るもの爆売れして、なぜだか資産が増える一方、忙しくなる一方。
 ドヤール領に雇用が落ちるように、いろいろと工夫して、信者が増える一方。


 で、いろいろとやらかして、王族の視察を受けることに。で、やって来た王弟殿下。1巻の時点で、2アウトやらかして、サラナちゃん親衛隊の面々からの評価が地に落ちているという。
 しょっぱなに、令嬢を同席させるな発言に側近の念押しという追撃ちは強烈だよなあ。ここで、サラナは側近とBLハーレムと徹底的に思い込んでしまったのが、王弟殿下にとっては不幸。
 さらには、サラナの誕生日パーティで、サラナならトラブルも平気だろう発言で、完全にドヤール家から排除対象に。
 まあ、完全に当て馬だな。ただでさえ、サラナ自身が王室というものにいい思い出がない。さらに、前世の記憶で精神年齢が高くなるから、未熟さが前面に出ると釣り合わないわな。


 ラストで、サラナに一番気に入る贈り物を準備してきたアルト商会長が、やはり本命だよなあ。


 書籍版書き下ろしとして、第三者視点の話が増量されているな。「カイ、ギャレット、ビンスの出会い」「ドヤール家の家令」「ドヤール家 夜会の後の小宴会」「誕生日の贈り物」が書き下ろしかな。結局、トーリ殿下はサラナの相手としては「妥協」なのね。やらかさなくても。