千石かのん『落ちこぼれ白魔導士セシルは対象外のはずでした』

 ケンカップルなお話。ぽんぽん軽口たたき合う男女が恋に落ちるというのは、あるあるですよ。
 魔力が少なくて白魔導士としてはみそっかすのセシルは、夜会で第一聖騎士隊長のオズワルドに解毒剤をぶっかけたところから、魔獣に付けられた傷の解呪を頼まれることに。辺鄙な別荘で一緒に暮らすうちに、互いにドンドン惹かれあうようになって。
 とりあえず、ヒロインのセシルさんがやかましいキャラですな。ついでに、無遠慮に治験中の薬を投与してくる。それにぎゃーすか、文句を言っているオズワルドも、その距離感が心地よくなって。
 最初は、好みじゃないと言う意味で「対象外」だったのが、後半には恋愛遊戯の「対象外」に変化しているオズワルド。しかし、それを聞かれて、やっぱり恋愛対象外なんだと再確認してしまうセシルとのすれ違い。
 存在そのものが騒がしい娘かあw


 ゆったりと治療を進めるはずが、オズワルドに傷を負わせたのと同様の魔獣が現れ、それを迎え撃って負傷した騎士の邪気と同調して、オズワルドが正気を失う。さらに、連絡用の宝珠に、邪気がまとわりついていて、オズワルドを探している存在がいることも明らかに。
 ヒロインのセシルは、解毒解呪のエキスパートなのだが、その所以たるのが患部にキスして邪気を吸い取る。さらには異性限定で、体をつなげることによって完全に邪気を自分に移し、体内で浄化できる能力。時間の猶予がないと感じたセシルは、体を使うことを余儀なくされて。


 一方で、実は魔獣の大発生は、封印された「暴虐の魔女」の魔女が解放され、力を取り戻すべく策動していた結果で。さらに、魔女に乗っ取られた存在は、力を完全に回復するために、封印された体を確保しようと動き出して。
 品行方正を謳われた女性が、実は中身真っ黒か。外面を利用して、騎士たちを操りつつ、封印された魔女の体を取り戻そうとする。しかし、オズワルドを始め、怪しいと思った人間が調査を開始。怪しい動きを炙り出されていく。
 最終的に、魔女の体を取り戻して一瞬油断したところをバッサリとやって、魂を別途破壊。


 このくらいのエロの恋愛ものも、まあ良いですね。