ガムテープ剥がし

 だれか、ガラスに張り付いたガムテープを3分くらいで剥がせる方法を教えてください(白目)。


 台風10号対策で、窓に張り付けたガムテープを徐々に剥がしているところ。張り付くというのは聞いていたけど、ここまでガッツリ張り付くとか、思いもしなかった。あんなにべったり、残るのか。
 実は、我が家の今回の最大の台風被害のような。すでに、除光液とメラミンスポンジを大量に消費している。次からは養生テープを使うようにしよう。
 とりあえず、接着剤だけが残った場合は、除光液をメラミンスポンジに含ませて、溶かしつつ、吸い取っていけば良いようだ。時間と手間がかかる上に、完全に除去するのが難しいのが欠点。検索しても、これはという良案はないようだし。
 油差しかしょうゆ差しのような、少しづつ補給できる道具があればはかどりそう。


 問題は、中途半端に剥がした奴なんだよなあ。中層のザラザラした紙が残ると、除光液が接着剤を溶かせない。どうしたものか。なんか、油がいいとか、検索すると、いろいろと出てはくるけど。


 とりあえず、引っかかったページメモ。
life-hack.xyz
manabingo.com
kurapura.life
www.rikeikasan.com

劇場版「Fate/stay night [Heaven's Feel]」Ⅲ.spring song

 やっと、見に行く。8月中はコロナが怖くて、9月に入ってからは天候だのなんだので、ズルズルと遅れる。おかげで、割と空いた状態で見られた。


 とりあえず、ゲームをクリアしたけど、結局、細かいところは忘れまくっているのだな、と。
 ラスト、士郎は、蒼崎橙子の人形で、人間の姿を取り戻すのか。ここいらは、エロゲー版では語られなかった設定かな。桜が持ち歩いていた、鳥かごのような物に、士郎が入っていたのだろうけど、結局、どういう姿だったのだろうか。鳥?


 慎二を殺してしまった桜は、そのまま、聖杯の影を受け入れ、黒化してしまう。さらに、衛宮邸を襲撃。イリヤが、聖杯の鍵を与えると持ちかけたため、凛とライダーを残してアインツベルン城へ赴く。
 士郎は、言峰の援護を受けて、イリヤを取り戻し、アーチャーの腕の魔術回路を始動。黒化したバーサーカーを退ける。そして、柳洞寺の地下の聖杯のもとに赴く。


 相変わらず、凜さんは、うっかりさんですなあ。宝剣ゼルレッチで桜の「影」を撃退するも、最後のトドメを刺せない。冷徹を気取っていても、甘ちゃんな凜さんが好きだわあw
 幼い頃、二人がポーカーしている回想シーンが印象的。ニコニコ顔でワン・ペアを出してくる桜に、フルハウスの凛が、どうしたものかと思案する。だだ甘姉ちゃんじゃねーか。
 そして、その凛の心が、暴走していた桜に、人間の心を取り戻させる。


 一方、黒セイバーに足止めされた士郎たちは、一歩遅れての進撃。アーチャーの魔術回路で壊れつつ、桜を救うべく戦い続ける士郎。
 ライダーと黒セイバーのバトルがものすごい迫力。そして、「無限の剣製」によって模造したキャスターのルールブレイカーで、桜を呪縛から解き放つ。聖杯の中に残されたのは、この世界のすべての悪を押しつけられた存在、反英雄、「アンリマユ」。桜に代わって、それを破壊しようとする士郎。しかし、最後の最後に、いわば裏返した士郎である言峰が登場。殴り合いで、自己の正義を押し通そうとするような戦い。
 生き残った士郎は、アンリマユを倒そうとする。しかし、そこに来て、士郎は、自分の死を意識して、怖れる。「正義の味方」として、平然と自己を押し殺し、自分の命も大事にしてこなかった士郎が、桜を愛して、正義の味方であることを捨て、そして、自身の死を怖れる心を取り戻す。全身から剣が生え、人格を失いかける極限状態だからこそ、士郎は人間らしさを取り戻せたのかねえ。
 最終的に、イリヤが、すべてを肩代わりして、後始末を着けてしまう。そして、士郎は、凛の魔力の欠片で生き延びる。


 ゲームでは、桜のもとにたどり着いてからがやたらと長かった印象だけど、士郎の心象風景を取り除いてしまうと、意外とあっさりとした絵面になるのだな。ここでクライマックスと思ってから、4時間くらいかかって、明け方まで眠れなかった記憶が。
 なにやら、自己が壊れていく葛藤とか、正義の主張が長かったんだなあ。
 そこいらが、絵では表現しにくかった分、終わった後、取り残された桜のモノローグが目立った感じが。やっぱり、桜が真ヒロインだよなあ。


 とりあえず、レアルタヌアをプレイするか。

Fate劇場版を見に出撃

 台風一過で、九州はずいぶんと涼しく。最高気温が31度程度になってくると、暑いといっても、体が受けるダメージがずいぶん違う。34度とかになると、外にいるだけでガスガス、HPが消えていく感じだけど、今日はそこまではなかったな。
 とはいえ、暑いので、かなり水分を取りながら行動。そうすると、映画の途中で尿意が強くなって、なかなかに苦労した。夏の映画鑑賞は難しい。


 その後は、イオンを覗いて、下通で本を購入。新刊をゲット。大江のイオン、ずいぶんと大規模な改造をしているんだな。ビバホームって、どんな店なんだか。


 水道町交差点の向日葵。




 ざっと、行動した範囲では、熊本市内、建物がぶっ壊れたり、街路樹が折れたり、抜けたりというのはないみたいだなあ。やっぱり、熊本市内は、あんまり風吹かなかったようだ。壊れそうなのは、熊本地震であらかたぶっ壊れたというのもあるんだろうけど。
 一方で、あちこちに養生テープなガムテープで飛散防止した窓が目立つ。我が家もつけたけど、今回、ワンワン「かつて無い規模の」とかマスコミで連呼していたから、そういう対応とるよなあ。
 ところで、窓に残ったガムテープの接着部を剥がす方法を、誰か教えてくださいw


 今回、熊本では、かなりガッツリ空振りした感じで、次の台風の時、被害が大きくなりそうだなあ。かくいう私も、かなり拍子抜けしていて、次回、腰が重くなりそうな気がする。
 今回、幸いにして停電なかったけど、情報収集なんかを考えると、モバイルバッテリーは用意していた方がいい感じだな。いくらくらいするんだろ。
 いや、なんか、見事に商品が消えまくってたみたいだしなあ。




 そういえば、コロナで密度増やさないために、定員で拒否した事例が多いようだけど、これだけ避難しろと連呼しておいて、避難所の人数が足りないというのは問題なんじゃなかろうか。なんか、避難指示とか、避難勧告のレベルをいじる以前に、避難所のシステムが破綻しているのだが。
 普段から、警報で避難する住民の比率が少ないと言われていたが、受け入れ側も受け入れ能力が欠如していることが明らかになってしまった感が。

放課後ていぼう日誌 れぽーと09「備えとアオサギ」 - ニコニコ動画


 今回は、ちょっと教訓系。前半は着衣水泳の練習、後半は釣り糸が絡まったアオサギの捕獲のエピソード。


 前半は、海に落ちてしまったときに、どう行動するかの練習。動き回らず、静からに力を抜いて浮く。で、救助を待つべし。あとは、やはり救命胴衣があると、よい。最近は、水を感知して、炭酸ガスで膨脹するタイプもあるのか。すげー浮くけど、ガスのタンクが1回で2000円か。完全に非常用装備だな。しかも、ガスタンクも定期的に取っ替えないといけなかったりして。
 人工呼吸とか、心臓マッサージ、難しいんだよな。自動車学校でやったけど、どっちもできなかった記憶が。最近は、心臓マッサージのみでいいとか言うけど。あれも、人形でやったとき、ちゃんと出来てるサインが点灯しなかったんだよなあ。
 とりあえず、過去に海に落ちたことから水を怖がる大野先輩のパニックぶりが輝いていたw










 後半は、堤防部部室のエピソード。濁った海では、根魚も外に出てくる。で、それを狙っていたら、アオサギがおこぼれを狙って、やってきて、陽渚が釣ったリリースサイズのガラカブを横取り。怒る陽渚。しかし、足に絡まった釣り糸を見つけてしまい…
 結局、部長の協力を取り付けて、アオサギを捕まえて、糸を取り除く作戦に。本音が「絡まった糸を見ると我慢できない」ってあたりが、陽渚ちゃんも、かなりの変人キャラというか、パラノイアっぽくていいですねw
 アオサギを誘う陽渚ちゃんの表情がw



 野生動物との距離感を考えさせられる話であった。餌付けみたいなのは良くない。そして、人間に近づきすぎた動物が危険にさらされる。ちゃんと、ゴミは拾って帰ろう、と。


 そういえば、前回から制服が夏服に。半袖セーラーいいっすね。それに、サンバイザーの夏海さんが最強すぎる。



台風通過

 なんか、かつて無い規模とか言われていたが、熊本平野に関しては、ちょっと強いくらいで済んでしまったな。なんか、次に九州西海岸ルートの台風で油断してしまいそうで、怖い。あと、はじめて、窓の対策を取ってみたけど、ちょっと面倒くさすぎる。手軽になんとかできる方法を考えないと。防犯用のフィルムはけっこう、高価だし。飛散防止フィルムでいいのかねえ。
 頻繁にくるなら、窓枠の外に棒を固定しておいて、台風のたびに釘で打ち付ければ良いのだけど。


 今回、事前の警報が行き届いていたのと、実際、九州に近づくまではヤバい規模だったから、避難が行き届いていて、被害が少ない感じだな。それでも、関連の事故で2人死亡、椎葉村の崖崩れで4人行方不明。けが人が100人以上。とはいえ、だいたい台風がこれだけ近づけば10人くらいの死人がでるから、効果はあったのかな。


 熊本平野部では、肩すかしレベルの風雨だったけど、鹿児島や長崎では、かなり建造物に被害が出ているようで。停電もかなりの範囲に及んでいるようだ。熊本県内でも2万5千戸が停電被害にあっているようだから、天草や人吉のほうは、かなりの風が吹いたようだ。


 とりあえず、見かけた被害写真をメモ。




www3.nhk.or.jp
 長崎では、浮きドックが漂流。そういえば、ウラジオストックでは先日、漂流した浮きドックが暴れまくって、潜水艦だのに衝突しまくっていたが、こっちはそういう事は無かったようだ。


 そういえば、我が家でもスリーダイヤが出現していたw

台風実況

0051
雨降り始め。


1036
大粒の雨が降る。風も家が揺れるほどではないが、降り込む程度には。


1146
南からのシトシトとした雨。防災関係の放送が響く。
なんか、弱まってきているようで一安心だけど、普通に死人が出る規模とルートは変わらないんだよなあ。屋根の上の太陽光パネルが無事ならいいんだけど…


0130
雨風ともに弱め。つーか、気温が低くて、エアコンの意味が。



島を揺らした台風10号 一夜明け、猛威の爪痕 沖縄・南大東島
南大東島の状況。けっこう派手に吹き散らかされているな。頻繁に直撃受けてそうだけど、それでも、木の枝が飛びまくるのか。


1514
待ちくたびれたw


1739
暴風圏が近づいているはずなのに、強風も吹かないし、雨も大して降ってない。どうなってるの。


1817
びっくりするほど風が吹かない。九州山地で遮られて、宮崎のほうではガンガン雨が降っているようだが。熊本はシトシト降り程度。もう少し、前振りがないと緊張感が続かない…


1928
やっと、窓が鳴るような風が。


2009
南から雨が吹き付けるように。窓の隙間からの風音が止まらない。おっと思うような風がちょくちょく。


2056
ガタガタと窓を揺らす南風が。台風らしい風が吹くようになった。1991年の19号のときは窓がたわむような風が吹いたが、今回はどうなるか。


2127
ごうごうと強い風が連続で。日中だと外の様子が分かるけど、夜だとどうなってるか分からないな。そろそろ、家が揺れるような風になりかかってる。


2132
屋久島全域停電など。この分だと、長崎県をかすめるように北上か。熊本に限れば、東に旋回して、吹き返しが長く続くよりダメージが少なくなりそうだが。つーか、韓国も、9号でやられた後に、数日で巨大なのが突っ込んでくるのか。


2228
停電が起きる可能性があるので、早めに風呂。
ビュウビュウと風が吹いているわりに、近所でものが動く音がしない。いつもだと、ちょっと強い風だなとおもったら、どっかでがちゃんがちゃん音がするのだが。さすがに、台風対策で片付けたかな。


2246
強めの風が継続。
明日は、どこも計画運休閉店で出かけるところがない模様。まあ、日中はずっと雨なので、引きこもることになりそうだが。
相変わらず、大して雨が降らない。宮崎で全部落ちている上に、本体の雨雲も熊本はちょうど隙間になるようで。熊本平野はほとんど雨降らない模様。


2314
窓枠がガタガタとなるような風が。周囲でも、物が飛ばされているような音がするように。本格的に近づいてきた感じ。よく考えると、暴風圏に入るのが、ずいぶん久々な気がする。


2327
窓枠や網戸がガタガタと。


2344
風強まる。窓枠がガタガタ。が、今のところ、ものが飛び回るような雰囲気ではないな。


2354
そろそろ停電が怖いので、スマホに移るかなあ。あっちも、最近バッテリーの減りが早くて、あまり使いたくないのだが。


0013
そろそろ寝る準備。眠れればだけど。
暗くてよくわからんが、外は木の枝が飛び散てる感じではないなあ。


0034
一段と風が強く。家も揺れる。
20年ほど前には、眠れなかったが、睡眠薬という強い味方がいる。


0050
そろそろ寝る。
風の音が、やかましい。ビュービュー、ガタガタ。


0144
強風で眠りを破られる。


0244
強風の連続に、眠りを破られる。家がゆれる。


0627
明るくなってきた。
ちょっと風向が変わってきて、西よりになってきている。窓がガタガタと音をたてる。
外は、見た感じ、木の枝が飛び散っているようすではない。
つーか、連続でガタガタ来て、寝てられない。


0653
吹き返しらしい、西よりの強風が続く。
我が家の近辺では、物や木の枝、葉はあまり飛び散っていない。庭の花や野菜も、倒れているのはないようだ。支えもしているし。


0748
吹き返しも、頻度低下。たまに、ごうっとくるけど。
しかし、今回、熊本平野はほんと、雨降ってないな。外側の雲は宮崎に落ちて、本体の雲はぎりぎり範囲外だった。


0804
風向きが南西に変わる。吹き返しの風に。窓に当たる音や揺れが、けっこう大きい。


0821
吹き返し強いな。
家が揺れる。


0857
ゴトゴトゴト。


1044
西風が吹き荒れる。強く、持続時間が長い。


1245
寝直しからの起床。かなり離れていったはずなのに、吹き返しの風が依然として強い。窓の外に巣を作っていた蜘蛛が飛ばされているような。あと、やっぱり、道路に葉っぱが飛び散ってるな。


1355
西側からの風が強い。下手すると、暴風圏にいたころより強いかも。いつまでも、よく吹くなあ。


1407
ここに来て連続的に窓を揺らす風が。


1538
一時期、強い風とたたきつけるような雨が降ったが、それも終わって、風も止まったようだ。
やっと、風も終わった感じかなあ。これにて終了。


1709
窓に取り付けた板などを撤去。庭のしまった物を出すなど。気候変動でこの位の接近が続くようなら、本格的に対策を考えないといけないけど…

詫摩佳代『人類と病:国際政治から見る感染症と健康格差』

 うーむ、読むのにめちゃくちゃ時間がかかってしまった。『ビザンツ帝国』を読み終わったときには手を着けていたのだが、途中で次々と読む順番を抜かされて。さらに、読み終わった後も、読書ノート付けが延び延び。最低でも、一月がかりか。
 WHOを中心とする、国際的な公衆衛生組織が、どのような国際政治のもとで活動してきたかを描く。さまざまなプレイヤーの政治的思惑、国際的な影響力確保や国内政治に影響されつつ、それを逆手にとって自らの影響力を着々と伸ばしていった公衆衛生の世界を描く。
 序章の20世紀に入る前から、20世紀に入っての国際的公衆衛生組織の形成、天然痘やポリオの根絶作戦とマラリアの失敗、1980年代以降の新興感染症に対する戦い、生活習慣病に対する対応、医薬品へのアクセス格差をどう解消するかの挑戦といったテーマで叙述される。
 というか、WHOが組織される以前の公衆衛生組織の歴史を見ると、イギリスはやっぱりクソ外道であるとの感を強くするw
 あとは、WHOが国際政治のアリーナで、自身が強い影響力を持つプレイヤーではないこともわかる。今のWHOは、アメリカと中国の対立を含め、国際政治の分断が強まって、その中で苦慮している状況か。新型コロナは、最悪のタイミングで現れたわけだ。人間の生態に適応しまくった性質とともに、時代も適合していたわけね。


 序章は、19世紀までの国際的な公衆衛生。そもそも、種痘出現以前には、人間には隔離と交通遮断、給水の改善程度しか対応策がなかった。インドからの感染症の拡散に対して、フランスなどは途中の検疫を導入しようと図ったが、植民地からの交易仲介が経済的に重要であったイギリスは強く反発。なかなか、国際的な条約の締結に至らなかった。
 また、ペストの流行に対するイギリスの強硬な隔離政策は、インドの民衆とイギリス帝国主義の対立関係を作り出したり、クリミア戦争赤十字の元になったり。


 第1章は第二次世界大戦後のWHOの形成までの動き。第一次世界大戦の巨大な軍人の移動は、さまざまな感染症の移動を引き起こした。スペイン風邪ことインフルエンザの猛威が有名だが、バルカン半島に定着していたマラリアが、東部戦線の軍事活動で拡散。あるいは、衛生条件の悪い塹壕での感染症の拡散。
 戦後、荒廃したヨーロッパで、これらの感染症の拡散の抑止は、復興の重要課題だった。ポーランドチフス対策の協力要請やソ連での感染症対策などから、国際連盟のもとに、常設の感染症対策機関、国際連盟保健機関が組織された。これは、後々、国連を脱退した枢軸側の諸国を引き戻す梃子になると期待され、日本などの脱退国も保健関係での協力関係はギリギリまで維持した。しかし、1940年頃になると、国際連盟保健機関は英米側に協力するようになる。畢竟、枢軸側は国連から脱退した側だしねえ。
 国際連盟保健機関のもとで、国際的な感染症情報の共有や医薬品の標準化などが行われた。みんなでビタミン物質の発見を競い合っていた頃は、どれがどれか混乱していたのか。あとは、この時代から、マラリアが重要な課題だったのだなとか。


 第2章は、戦後の感染症対策。金字塔であるところの天然痘撲滅、そして、それに近い状況であるポリオ撲滅。一方で、抗マラリア薬とDDTを武器にしたマラリア対策は大失敗。これらの大規模な活動の背後の、国際政治的な思惑が興味深いな。ソ連が、国内の天然痘に悩んでいたのと同時に、天然痘対策を通じて国際的な名誉を獲得しようとした動機。一方、アメリカはマラリア対策にリソースを突っ込む。天然痘やポリオが、中間宿主を含まない人人感染の病気だったのに対し、生態系の基礎的生物である蚊を媒介とするマラリアでは、難易度が違っていたわけか。あとは、病原体のしぶとさも。
 天然痘が、外見で患者を容易に見分けられる、それに対して、ポリオは患者の発見がそれほど簡単ではないというのが、現在の実績の差になっているのか。それでも、アフリカで野生株を絶滅させて、今やパキスタンアフガニスタンだけになっているというのは、立派な実績だなあ。
 一方、アメリカがのめり込んだマラリア対策は、殺虫剤で媒介の蚊を殺し、クロロキンでマラリア原虫を殺す対策だったが、両者とも耐性を獲得してしまったこと。さらに、DDTの毒性や生態系への悪影響から、失敗に終わってしまう。現在では、貧困撲滅の観点から、さまざまな出資者によるファンドによる対策、さらに殺虫剤処理した蚊帳や新規の薬剤治療、ワクチンの開発といった手段を通じて、対策が進められている。
 キニーネは大量生産が困難、かつ、副作用が大きいのか。それでも、キナの木の産地を押さえた大戦時の日本は有利だったのかねえ。戦記でも、キニーネ、良く出てくるし。


 そして、1980年代以降は、新興感染症の脅威にもさらされる。エイズSARS、エボラ、新型コロナといった新たな脅威の前にどのような動きをしたか。
 しかし、エイズの致死率が凄いなあ。7800万人が感染して3500万人が死亡。今では多剤併用療法で死ぬ確率は減ったとはいえ、高価な薬剤はアフリカでは厳しいんだよね。新型コロナもそうだが、無症状期間に感染させる感染症は怖い。性感染症は、宗教とか道徳の問題が絡んできて、対処は難しいんだよなあ。それでも、HIVの対応が着実に進んできたのは、それだけヤバい病気と言うことだよなあ。国際的な強力の進展、特に軍隊に入り込んだときの危険性から、安全保障上の問題として対応されている、と。
 SARSでは、新興感染症に対する情報共有が問題になった。また、渡航禁止勧告が、大きな経済的損失をもたらしたことから、配慮事項になった。ここいらは、SARS2.0たる新型コロナで、改めて問題になったことだなあ。情報の遅れ、そして、むしろ封鎖が遅れてしまったというか、もっと激しい形で封鎖が行われて、経済的惨事に。新型コロナでは、米中の対立が、国際的な協力体制構築に負の影響を与えているとも。
 あとは、さまざまなアクターが協力したエボラ対策。財源問題が、迅速な対処を阻害して、緊急対応基金が設立とか。エボラと言えば、コンゴ東部の先日の流行に関しては、どういう見解になるんだろう。


 第4章は、生活習慣病に関して。ガン、心疾患、脳血管疾患など、長期的な生活の結果、内臓などに影響が出てくる病気が、改めて問題になる。むしろ、途上国の生産人口への悪影響が大きい。一方で、感染症以上に、個々の人々の生活に介入する度合いが大きいので、反発が大きい。嗜好品規制というのは、やはり、生活の楽しみだからなあ。ソフトドリンクへの課税をめぐるあれこれ、フードガイドをめぐる畜産関係ロビイストの介入、アルコールの過剰摂取などで、攻防が。
 一方で、タバコに関しては、国際的な規制のコンセンサスが成立している、と。やはり、他人に悪影響を与えるというのが、タバコの弱みだよなあ。あとは、タバコロビーと食品関係ロビーで、どの程度、力に差があったのかというのも気になる。激しい攻防を経つつ、規制が進みつつある。しかし、規制をしていない国やゆるい国、新型のタバコの出現など、いろいろと課題はある、と。
 やはり、「自由」への介入という側面が、非感染症疾患予防は大きくなるからなあ。生活の規範化。愚行権を否定してしまうのは問題だろうし。とはいえ、日本は砂糖の消費が少なくなっている珍しい国だったりするんだよな。


 ラストは、医療・薬品へのアクセス格差の問題。先進国で開発される薬剤が高価で、発展途上国で医薬品が入手できない。これに関しては、新薬開発の巨額経費の問題もあり、ギリギリの妥協点が模索されている。必要な薬に関しては、国際的な値下げ圧力があったり、インドなどでは既存成分の特許を認めないという制度、あるいは、NGOとのライセンス契約で安価なジェネリック医薬品が供給されるなどの工夫が行われている。
 また、先進国で、感染症が減って、感染症研究や薬剤開発への投資が行われなくなり、各種の熱帯病への対策が進まず、貧困を悪化させている「顧みられない熱帯病」問題も大きい。先進国も関係があるHIVマラリア結核に投資が集中してしまう。これに対し、官民パートナーシップなどの枠組みを通じての対応が模索されている。

 このほか、航空券連帯税を利用してエイズマラリア結核の治療へのアクセスを拡大しようという画期的なパートナーシップも登場した。二〇〇六年に設立されたユニットエイド(UNITAID、第2章でも言及)はその資金の七割を航空券への課税から調達している。参加国を出発するすべてのフライトに適用され、たとえばフランスでは同国を出発するすべてのフライトに対し、エコノミークラスの航空券に一ユーロ、ビジネスクラスの航空券に四〇ユーロが課される。この方法で二〇〇六年以来二〇億ドルを超える資金調達に成功し、途上国におけるエイズマラリア結核対策に充てられてきた。p.123

 つまり、今度の新型コロナで人の移動が止まるということは、国際的公衆衛生への資金拠出も止まるということなのだな。この資金の停止が、どのような影響を及ぼしているのだろうか…

 このほか、WHOは国家以外の様々な主体やネットワークから得られた情報に関して、当該国に照会し、検証を求めることもできるようになった。インターネットの普及により、国家に限らない多様な主体から迅速に正確な情報を得られるようになった現状を反映したものである。決定された規則はさらに、感染拡大防止策は、社会・経済に与える影響を最小限に留めるよう配慮すべきことも加えられた。カナダや中国に一部地域への渡航禁止勧告が大きな経済的損失をもたらしたことへの反省であった。以降、WHOは大規模な感染症流行の際、渡航禁止勧告を出していない。p.131-3

 新型コロナでは、この「教訓」が裏目に出たわけだ…