陣内秀信『南イタリアへ!』

南イタリアへ! (講談社現代新書)

南イタリアへ! (講談社現代新書)

 南イタリアの歴史的諸都市を、調査にもとづいて紹介した本。雑誌の連載を加筆修正したものらしい。地方の小都市が多いが、逆にここ50年ほど「投資」をあまりうけなかったことが幸いしたように感じる。また、丘陵や山の上に建設された町がおおいが、これは南イタリアの都市の特徴なのか、あるいはそのような場所に遺されるものが多かったのか。
 本書を読むと、長い間に蓄積されてきた生活の痕跡が持つ魅力、そして実は都市と車はものすごく相性が悪いということが良く分かる。自動車道は通り抜けるには便利だが、住んでいる人間への利益はあまりない。また、生活空間や歩行の空間としては、狭い道のほうが快適なのではないか。救急車や消防車が入れないと言う問題はあるが、それに対処するのがテクノロジーだろう?そんな感じ。しかしなんだ、我が家の前の生活道路が車の抜け道になっているが、本当になんとかならんかな。家の前が一番危険なのだが…