セシル・スコット・フォレスター『海軍士官候補生:海の男/ホーンブロワー 1』

 先日の記事で読みたくなったので、腐海の底から全巻まとめて召喚。このシリーズを読むのはずいぶんと久しぶり。大概、同著者では『駆逐艦キーリング』を読んでいたし。
 始めて軍艦に乗り組むところから海尉に昇進するまで。エピソード単位の短編集。拿捕船の回航中に、捕獲時にあいた穴から水が入り積荷の米が水を吸って膨らんで沈没するエピソード。上陸時に、出先でペストの発生に遭遇し、隔離処置替わりに補給物資を輸送する船に乗ってさまよう話。少尉任官試験中に、スペインの焼討船の襲撃にあうエピソードなどが印象深い。
 ホーンブロワーの内向的な性格と、それを押し隠そうとする態度が、キャラクターに深みを与えているのだろうな。前述の『駆逐艦キーリング』の主人公も同タイプか。こちらの方が話の筋はシャープだが。