- 作者: イヴ=マリーベルセ,Yves‐Marie Berc´e,阿河雄二郎,嶋中博章,滝澤聡子
- 出版社/メーカー: 昭和堂
- 発売日: 2008/04/01
- メディア: 単行本
- クリック: 15回
- この商品を含むブログ (1件) を見る
17世紀、ルイ14世時代のよくできた入門書。巻末の文献案内がいい。著者の研究史の文献解題と訳者による日本語文献の紹介。前者は、当然フランス語の本。事典類から各種テーマまで網羅されている。西洋史の卒論の指導に便利そうな本だ。これ読ませて、その後、ここに紹介されている文献を選ばせて読ませると。そこから報告させれば卒論の体裁はとれそう。おもしろそうな本が紹介されているのだが、当方フランス語ワカリマセーン。今さら、勉強する気にもならんというか、英語の本も読む気にならないが。
興味深いと思ったのは1、「宮廷は滑稽極まりないところだった」と5、「ルイ14世は身体を洗ったことがなかった」あたり。
戯画化されがちな宮廷の「エチケット」がルイ14世の時代の特殊な例であり、宮廷を王の威信を表現するべく劇場化したのはルイ14世の個人的な考えであったこと。そのエチケットはルイ14世の晩年には、はっきりと打ち捨てられつつあったことが興味深い。
あと、実際にルイ14世は身体を洗ったことがなかったらしい。この時代には身体を洗いすぎるのはよくないと医師に忠告されるように、水で身体を洗うことがあまり良いことだと思われていなかったこと、どんな時でも裸になることが恥ずかしいことと考えられていたことから、身体を洗うことが少なかったらしい。ルイ14世の身繕いは、朝にエチルアルコールを含ませたタオルで手や顔を拭うだけだったようだ。このあたりの恥じらいの感覚や清潔に対する意識の変化というのも興味深いものがある。