「絆」の戦後史 - dongfang99の日記

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 「絆」という言葉の意味の変化を、新聞の記事の用法の変化から指摘している。本来、「絆」という言葉は負の、束縛といった意味で使用されていた。これが1997-8年ごろに意味が逆転する。むしろ社会的な関係の不在状況に対して、戸惑いを示すような用法になったという。
 まあ、「自由」を目指して社会を作り替えてきたら、気が付いたら社会的関係そのものが崩壊して「無縁」の寒風にさらされるようになった。縛っていたものが、同時に保護するものだったということを思い知ったって事だろうな。

この結果を見ると、長い間にわたって「連帯」を掲げてきた福祉国家論者や社会保障の専門家にとって、東日本大震災における「絆」の爆発はあるいは逆風なのかもしれない。

 結局これでお前は何が言いたいのかと言われると少し困るのだが、現代日本社会の最も直近の起源が1997年から1998年の辺りにあり、戦後日本の経済・雇用・家族のシステムが解体していく(少なくともそう観念された)時代と歩調を合わせる形で求められるようなった言葉が「絆」であるということを、つまらないようだけど最低限確認しておきたい。



 これを縮刷版やらで精度を高めたら、卒論のテーマくらいにはなりそうだな。