産業革命は、なぜ起こったのか?: 極東ブログ

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 最後の方の都市と法の管轄の話だけど、最近の都市史はあまり都市と他の土地の差異を強調しない方向なんだよな。国制の構成要素としての都市とか、地域の中における都市みたいな観点から中世都市を見る見方が基本化しつつある。
 まったく個人的な見解だけど、実のところ制度や組織といった部分から議論する意味がどの程度あるのかって感じるんだよな。マルクス主義なんかの理解が産業革命につながるかと言うと疑問と言うか。「資本主義」的な考え方なんかも、歴史を通じてあちこちで見かけるし。環境史とか、そっちの方向から見た方がすっきり理解できるような気がする。ヨーロッパの近世が他の文明圏と際立って特徴的とは思えないんだよな。むしろ、動力機関の導入による人類のエコシステムの変動、活動の活発化として理解したほうがすっきりするというか。化石燃料と動力装置が、資本主義的な無限の拡大を可能にしたのではなかろうかと思う。
 むしろ、蒸気機関という化石燃料を動力に変える装置の出現と普及こそが鍵なんじゃないかと思うようになってきた。その前提として大気圧や蒸気圧といった科学の進歩、人口増加にともなう木材供給の逼迫と化石燃料への代替、蒸気機関実用化までの投資といった部分を検証すべきなんじゃないかと思う。