鉄道会社の経営 - ローカル線からエキナカまで (中公新書)
- 作者: 佐藤信之
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2013/12/19
- メディア: 新書
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乗降客の数から収益を計算しているが、こうして見ると地方のローカル線って、本当にお先真っ暗だな。観光客の需要は追加収入としてはともかく、安定性を欠くだろうし。公的負担をどのようにするかが問題ということか。
JR東日本は大都市圏内の鉄道と新幹線で収益の大半を稼ぎ出している状況も興味深い。企業として考えると、ローカル線は完全なお荷物と。また、整備新幹線というのは、東京への求心力を高める装置というふうに見えてくる。実際、北陸新幹線は北陸を関西から関東の商圏に引き入れるわけだし。
新幹線鉄道網の整備、都市鉄道の整備、沿線のレジャーや住宅開発、増収のために通勤列車へのグリーン車の連結、観光列車の運行など。JR九州が不動産屋の副業で鉄道をやっているといわれるが、JR東日本のエキナカビジネスもものすごいな。
以下、メモ:
JR東日本の単体での個別売上高は、1兆9千億円で。鉄道事業の売上高は1兆8千億円である。連結売上高2兆6718億円の7割を鉄道事業が占めているのである。長年副業の開発に努力してきた私鉄に比べるとこの値は高い。たとえば、東京急行電鉄の場合は、連結売上高全体に占める鉄道事業の売上高の比率は13%にすぎない。p.29
東急レベルになると、本当に鉄道は道楽っぽいな。まあ、不動産やデパートに人を運んでくるという点で重要なんだろうけど。
開業時は、見物需要も見込まれるが、長期的には、本社・営業部門は東京、工場と研究開発部門は名古屋という形であたかも一つの都市内であるかのように部門が配置されることになるのかもしれない。近年、ビジネス活動の東京一極集中の傾向が強まっているが、この傾向の緩和に役立つことになろう。p.91
リニア新幹線の話。むしろ、東京にストローされる可能性の方が高いのではなかろうか。